木のマンションリフォーム・リノベーション-マスタープラン一級建築士事務所(大阪/兵庫/西宮/神戸/芦屋/宝塚/東京/神奈川/埼玉)

マンションでの室内物干しを考える


豊中の家。寝室とウォークインに面する窓の上枠を大きく持ち出して、物干しスペースとしている。

マンションリノベーションの要望で結構多いのが、室内で洗濯物を干したい、という声。それもお風呂に干して、ユニットバスの浴室乾燥機を回して、ではなく、電気を使わず普通に干したい、というもの。

賃貸住まいの方だと、和室の鴨居や窓のカーテンレールに無理矢理ハンガーを掛けたり、物干し専用グッズが所狭しと並ぶ、というパターンが多いのではないでしょうか。

でもどうせリノベーションするなら、この物干しも便利にしかもすっきりと作り込んでみたいものです。

今までは共働きの方に多かったこの要望、最近は花粉症の方からよく頂くようになりました。いくら窓を閉めていても、外に干した洗濯物が花粉まみれだと意味がないですからね・・・

ということで、ここではマンションリノベーションでの室内物干しについて色々考えてみましょう。

[マンションで室内物干しなんてできる?]

加古川の家。窓に面した洗面の上枠も物干しできる鴨居。

戸建て住宅では、太陽の光が入りつつ洗面にも近い空間を室内物干しのためのサンルームとしてしまう、という事例がよく見られます。

特に北国では寒さや日照の少なさから室内干しは一般的だったりします。木造住宅ではバルコニーは防水上の弱点になるので、できれば作らないようにするという風潮も影響しているかも知れません。

で、面積もスペースも限られるマンションでは、そもそもそんなスペース取れないから無理、と考える前から諦められているケースはあるように思います。

もちろん戸建てのように贅沢な空間は無理としても、マンションでも頑張れば室内物干しのための空間は確保できます。ただやはりそこは一工夫が必要です。

で、設計者の立場から言わせて頂くと、スケルトン状態のゼロからプランを考える以上、室内物干しも安易に既製品を使ったり、いかにも物干し、というものではなく、見え方もスマートに設えたいと常に考えています。

では早速、実例をご紹介しつつマンションリノベーションでの室内物干しを具体的に考えてみましょう。

[窓際の鴨居を物干しできるようにする]

鴨居の上に少し溝を取っておくと、ハンガーが引っかかるようになる。

さて、まず室内物干しを考えるにあたり、やはり日の当たるところでなるべく干したいなぁと思うのは当然なわけで、窓際をうまく使いたい。

マンションだと南側窓は、バルコニーの庇があるので夏はあまり日は当たらないですけど、冬は結構入ってきますしね。

で、一番シンプルな方法は窓付近に洗濯物を掛けられるようにする、ということです。方法としては、ハンガーの巾くらい窓枠を大きくしてしまうというもので、鴨居ハンガーと名付けています。

枠の上部は物を飾る棚としても使える。

そもそもマンションの窓際って、大きな梁の出っ張りがあるケースが多いです。この出っ張り分、窓枠を大きくしてやるとハンガーくらいは十分掛かるスペースが稼げます。バルコニー側には大抵2つ窓があるので、そこを枠で繋ぐと水平方向の広がりが出るというメリットも。また梁がない場合でも上部は棚のようにできるので物を飾るスペースとしても使えたりします。

[窓際のサンルームと物干しフラップ]

東大阪の家。窓際上部に仕込んだ物干しフラップを開いたところ。

マンションの中にはバルコニー側の窓際が非常に複雑な形状の物件がよくあります。窓の位置がずれていたり、L字にガラスが入っていたり、凸型になっているものだったり。

で、こういう場合には窓面の断熱のための内窓を室内側で通して、サッシ窓と内窓の間の空間をサンルームにしてしまえばそこが物干し空間になります。

床をタイルにしておくと、冬場の直射日光を蓄熱してくれますし、汚れにくいのでお掃除もラクです。

↑ハンガーを掛けるところは物干し竿や金属のポールだとどうしても無粋だし、使わないときも目立つので、使うときだけ天井から降りてくるように考えてみました。物干しフラップと名付けています(上の動画をご覧ください)

↑こちらは天井に溝を設け、そこにバーを仕込んだバージョンです。どこに物干しがあるのかパッと見では気づきません。サンルームの長さが短く、奥行きが大きいので、奥と手前に二本の物干しバーを設けています。

[浴室や洗面と繋げる物干しサンルーム]

 

貝塚の家。窓面に設けたサンルームは浴室や洗面ともつながる。

もう少し面積に余裕がある物件なら、独立したサンルームを設けることもできます。

ただ窓の明るさをサンルームだけで独占するのはもったいないので、浴室や洗面と繋げることで、双方の明るさや広がりも共有できます。

貝塚の家。浴室からの眺め。奥はサンルーム、窓際上部がハンガーを掛ける部分で、木製窓を開け放つと浴室乾燥機をサンルームにもまわせる。

サンルームは窓枠を延長した部分にハンガーが掛けられるようになっています。浴室を仕切る引戸を開けてしまえば、浴室の換気乾燥暖房機の熱をサンルームに回すこともできます。

[物干しリールを活用する]

ここまでは室内物干しのためのプランの工夫を見てきましたが、どうしてもスペースを確保するのが難しい場合は、物干しリールを活用するのも手です。海外のホテルなどのバスルームに付いているアレですね。物干しリールはワイヤータイプのものが多いのですが、オススメはベルトタイプ。

ワイヤーは洗濯物が多いと真ん中が下がり洗濯物ものが動いて寄ってしまう場合がありますが、ベルトタイプはハンガーが滑りにくいこと、ベルト穴にハンガーを刺せば動かないようにできたりします。

使わないときは目立たない上、4mまで伸び、フックが二個付属するので2パターンの掛け方ができるなどなかなか優れものです。

[優先度は人それぞれの室内物干し]

摂津本山の家。物干しバーを下ろしたところ。

ということでマンションリノベーションでの室内物干しのアイデアを見てきました。

マンションは高さがあるうえに広いバルコニーもあって、戸建てに比べると外での物干し環境は確実に良いので洗濯物も良く乾くとは思います。

ただ夏の暑さや日照、冬の寒さや強い風に晒されながらのバルコニーでの物干し作業が室内で快適にできるのは室内干しの大きなメリットです。

また洗濯物を干すと加湿効果も大きいので、冬場の室内干しは電気の要らない加湿器代りになります。特にマンションは気密性が高く室内が過乾燥になりがちなのでありがたいところ。

最近は室内干し用のスタンドなども色々あるので、設計時に深く考える必要はないかも知れませんが、洗濯は毎日のことですよね。

お子さんが小さかったり大家族の場合は特に重労働です。リノベーションを機に洗濯の効率化を図っておくことで将来的な労働ストレスが減らせるならそれに越したことはないかも知れません。


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