小谷です。最近ありがたいことに忙しくさせて頂き、常にプランニングや締め切りに追われ・・・ブログが疎かになってました。これはいかん、と久しぶりに完成写真で設計のポイントを紹介しようかと思います。今回は明石K邸、『勾配天井とロフトのある最上階住戸リノベーション』をご紹介。

完成は5月の話・・・2ヶ月なんてほんとあっという間です・・・

 

工事中のようすはこちらをご覧頂くとして、まずは解体直後のスケルトン状態を。この物件の特徴はご覧のとおり、最上階のため、マンションなのに天井が高い、勾配天井というところ。物件探しからお手伝いさせて頂いたのですが、当初不動産やさんからでてきた物件情報では何も書かれておらず、現場見に行って始めて分かった、という・・・

まぁ、最上階といっても、建物が削られているところの角部屋だったので、中間階なのに上部に住戸がない、という状況だったわけです。ラッキーでしたね・・・

ただ、最上階&角部屋ということは、壁や天井含め、6面のうち4面が外部に面していることになります。また引き回しバルコニーで掃き出し窓が7個もある・・・中住戸に比べ、熱損失は3倍以上大きくなります。

つまり、普通に住むと夏暑く、冬寒い家になります。ですので、この物件ではまずは断熱性能をしっかり確保しよう、ということを最重要課題として、費用の割り振りも性能確保に大きく傾けています。壁には乾式断熱、天井は吹付断熱を施し、窓も全てペアガラスの樹脂内窓を設置しました。

 

では早速、玄関から。窓があるのでそこそこ明るく、広い玄関ではありましたが、小さなゲタ箱しかなく収納が少なかったので玄関収納を確保。

またマンションによくある玄関と廊下が繋がった間取りでしたが、玄関は北側だし開閉も多いので、家で一番冷え込むところ。ここに繋がる部屋や水周りはどうしても寒くなる。そのため、玄関すぐに引き戸を設け、冷やされる空間の面積を極力少なくしています。

土間はモルタル金ゴテ押さえ、玄関収納の扉はシナ材の扉にKさん自らオスモカラーで塗装をしてもらいました。

 

 

玄関見返し。床はいつもの杉30ミリフローリング、天井にも杉羽目板15ミリ。玄関にあった小窓は、内窓を付けると使い勝手の悪い状態になるので、木製建具で引き戸を作成して二重化しています。玄関ドアの隣は床から天井までの姿見ミラーとして、小さな空間を大きく見せる工夫を。

廊下を仕切る引き戸は夏場は開けっ放しにしても邪魔にならないよう、壁の中に完全に納まる引き込み戸としてあります。姿見も引き込みも皆さんからリクエストを多く頂く定番の納まりです。

 

こちら廊下。洗面やトイレ、寝室やウォークインクローゼットへの引き戸が並びます。玄関とは引き戸で仕切られているので、冬場はリビング側と同じ区画になり快適。夏場は引き戸を開放することで玄関の小窓からの風の経路も確保できます。

 

そして、こちらがリビングです。もともと、少し天井が斜めになってはいたのですが、ほとんど空間を活かせてなくて非常にもったいなかった。スケルトン状態まで解体したのち、断熱などを含めた最大限の空間を確保し、そこに杉の柱と梁を組んで木造のロフトを設けました。

ロフト空間の下部はキッチンとパントリーになっています。もともと南側には2室の和室があったので、計3室をぶちぬいた大空間となっています。

 

キッチンはシナ共芯合板とタモの幅はぎ材を組み合わせた定番の大工さん造作キッチンです。奥にパントリーが見えます。ロフトで遊ぶ子供たちとキッチンのお母さんが話す姿が想像できます。

ロフトのはしごは収納時は壁に掛けられるように考えて作りました。安全性を考えて太めの材料で作ってますが、少し重いのでもう少しスリム化と軽量化を考えたいところ。梁に掛かるブランコは私たちからのプレゼントです。

 

リビングに面して小上がりにした空間が寝室です。寝るときは閉めて、昼間は開け放して一体で使えるように考えています。天井は少しだけ勾配天井にして、床下は収納空間になっています。

玄関から繋がるワークスペースはご主人の趣味のDJスペース。ヒノキの幅はぎ材で部屋いっぱいのカウンターを設けた大人の空間です。

 

と、ざっとご紹介してきましたが、天井高さや面積、窓の多さなど、リノベーションの素材としてはポテンシャルは非常に高い物件だったと思います。が、やはり面白い物件ほど断熱など見えない部分に掛かるコストは大きくなります。今回は造作の家具などをなるべく控えることで、基本部分にコストを割り振った計画となりました。

ちょうど物件探されているところ、という方も多いと思うのですが、角部屋や最上階は面白いけど、物件価格も高いし、リフォーム代も割高になるので、そのあたりのコストバランスをどこに置くか、は非常に難しいところですね。

KさんちはまたOB訪問ツアーでもお邪魔しようと思っていますので、マンションらしからぬ面白いリノベーションがしたい、とお考えの方にはとても参考になると思います。お楽しみに!

2012年7月23日