木のマンションリフォーム・リノベーション-マスタープラン一級建築士事務所(大阪/兵庫/西宮/神戸/芦屋/宝塚)

マンションリフォームと塗り壁について


私たちの木のリノベーションでは、壁に塗り壁(漆喰・珪藻土)を使うことをお勧めしています。

ビニールクロスなどに比べ、湿気を吸ったり吐いたりして湿度を調整してくれたり、アンモニアなどの臭いを分解してくれたり、カビが生えにくかったり、無機材なので日光などでの変色もなく長寿命、静電気なども起こりにくいなど、色々なメリットがあるからです。

もちろん塗り壁には、コストや工期など、デメリットも少なからずあります。そんな塗り壁とマンションの関係やメリット、デメリットについて主観を交えてご説明したいと思います。

 

塗り壁の調湿性はマンションに向いている

一戸建てに比べ隙間が少なく、また床面積が限られるマンションでは、室内の湿気を吸ったり吐いたりしてくれる塗り壁の調湿性は大きく発揮されます。調湿性能は有限であり、塗り壁面積に対して大きすぎる空間や、スキマが多く外気が常に入り込む状況では効果は限定的だからです。

  

↑左から東京世田谷Y邸京都西京区K邸大阪堺Y邸

限られた空間であればあるほど調湿性能は存分に発揮されますので、マンションリノベーションに塗り壁はとても相性のよいものです。杉材などの調湿性も合わせて、室内気候を快適に保つ効果が期待できます。

 

生活臭などの解消にも最適

中古マンションを見学するといつも、中古独特の臭いを感じることが多いです。特に水周りなどは洗剤や石けんなどが混じった臭いがします。また、新築マンションでも数年もすると独特の生活臭がどうしてもつきます。また焼肉などをした際の臭いが2日くらい残った、という経験をされた方も多いと思います。

↑全面漆喰塗りで2009年3月に完成した宝塚K邸。1年半ぶりに訪問しても全く生活臭がしなくてびっくり。

珪藻土や漆喰などにはこういった臭いを分解してくれる効果があります。実際に塗り壁をされた家に引渡し後数年してお邪魔すると、びっくりするほど生活臭がないんです。これはいつも感心します。

 

変色や剥がれがなく長寿命

これも中古物件を見に行った際に感じることですが、ビニールクロスは必ず黄色や茶色に変色しています。特に日がよく当たるところは紫外線によって劣化が進むので変色が顕著で、弾力を失い剥がれてしまったり、という状況もよく目にします。

↑とある築37年の中古物件。クロスの剥がれや変色がすごい。

塗り壁は基本、珪藻やサンゴの化石といった無機物から構成されていますので、ビニールクロス等の有機物と違い日射や経年での劣化が起こりません。つまり、新築時の綺麗さがずっと保てるということです。

塗り壁、というとボロボロ剥がれてくるとか、寿命が短いと思われている方が多くて、そういう質問を受けることもあるんですが、実際は逆です。特に漆喰は塗ってから何年も掛けて硬化していきますので、どんどん硬く頑丈になっていきます。

 

静電気によるホコリ、汚れがつきにくい

テレビなどの背面の壁に静電気でホコリが付いたりすることがよくあります。中古でがらんどうの状態でも、壁に黒く跡が残っていたりして、あぁ、ここにテレビ置いてたんだな、と分かるくらいですが、塗り壁では静電気も起こりにくいため、掃除もラクになります。

 

燃えない、火災時にガスが出ない

万が一の火災時、火より怖いのは建材が燃えることによって発生するガスや煙によって気を失ってしまうことだと言われています。特に面積の多い壁のビニールクロスは影響が大きいと思います。珪藻土や漆喰は無機材ですので基本燃えません。

 

マンションの大敵、カビ

一般にマンションは冬暖かいと言われますが、特に北側の窓付近や壁の隅などは、断熱が不十分だと結露やカビが一戸建てよりも激しく発生します。ビニールクロスの場合、水を通さないためクロス裏側で結露を起こし、壁が剥がれる、裏側でカビが大量に発生する、といった現象をよく見かけます。

↑左から伊丹O邸吹田T邸茨木I邸の壁に生えたカビ。全て壁紙が剥がれている。
外部に面する角部分は冷え込むためカビや結露が特にひどい。

塗り壁、特に漆喰については、素材自体がアルカリ性を有しており、例え結露が起こってもカビが生えにくい環境を作ることができます。

またアルカリ性についてはウィルスに対しても効果があることが最近の研究で分かってきており、インフルエンザウィルスなどを死滅させる力があるとかなんとか(詳しくは知りませんが・・・)。

漆喰の原料は石灰、石灰といえば運動場の白線を連想しますが、近年鳥インフルや口蹄疫などの消毒として撒かれているのをよく見ますね。

 

コストや工期というハードル

こんなにいいことだらけの塗り壁なら使いたいわ、となるわけですが、一番のネックはコストです。

材料、施工含めたコストで比較してみると、

・一般的なビニールクロス仕上げが1平米あたり800~1000円

・塗り壁(珪藻土・漆喰)仕上げが4500~5000円

つまり、コスト差は4~5倍ほどあります。

一般的なマンションで、壁面積は200平米前後ありますので、ビニールクロスなら20万円前後で済むものが、塗り壁だと100万円くらい掛かります。

塗り壁が高い最も大きな理由は、作業工程や手間が大幅に増えることです。
それぞれの工程を比べてみると、

 

クロス工事

塗り壁工事

1)下地処理
(パテ、メッシュテープなど)

1)周辺養生
(床、天井、枠、家具などマスキング)
2)クロス貼り
2)下地処理
(アク止めシーラー塗布、メッシュテープなど)

3)下塗り
(専用の下塗り材をコテ塗り)

4)上塗り
(下塗りが乾燥したのち仕上げコテ塗り)

5)養生剥がし、タッチアップ
(チリ際などの補修)

このように、工程の数も手間も大きくなります。そこに材料代も掛かりますので、全体でみるとどうしても高くなります。また工程が増える分、クロス工事よりも工事期間が長く掛かります。

 

汚れやメンテナンスについて

ビニールクロスと塗り壁のメンテナンスについて考えてみましょう。

例えば拭き掃除ですが、ビニールクロスは洗剤を付けてガンガン拭けますが、塗り壁は拭き掃除は向いていません。シミがついたり汚れた場合は、紙やすりで少し表面を削って取ります。

子供がマジックで落書きしちゃった、という場合、削って取れない場合はそこだけを部分補修する必要があります。拭き掃除では迷わずビニールクロスに軍配が上がりそうです。

逆に、ビニールクロスで穴が開いた、破れた、という場合、壁一面の張替えが必要になることもあります。これは自分ではできないのですが、塗り壁の場合は小規模の補修で済む、また材料さえあれば自分で直せる、という点は塗り壁にメリットがあるかもしれません。

寿命については、塗り壁の方が圧倒的に長いです。これは姫路城などの外壁に漆喰が使われていたりすることを見てもよく分かります。

 

機能やランニングコストなどを考慮して総合的に判断する

そこまで高いとちょっとなぁ・・・と思われる方が多いと思います。やはりコストは大事な要素だからです。どうしてもコストを抑えたい場合は塗り壁をやめるだけで大幅なコストダウンができます。

また、部分的に塗り壁にする、という選択肢もあります。

ただ、イニシャルコストだけに捉われすぎると、長い目で長期的に考えたランニングコストが見えなくなります。また調湿性やカビ防止といった機能は金額に換算しにくい部分でもあり、住んでみないと分からないところでもあるからです。

部分的に塗り壁にしたお客さまから、『やっぱり全部塗ればよかった・・・』という声を聞くこともよくあります。ですので私たちとしては塗り壁を積極的にお勧めするようにしています。


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