メゾン西宮 関西で一番初めに建った民間分譲マンション

兵庫県西宮市にあるマンション、メゾン西宮を見学してきました。メゾン西宮と言えば西宮でも屈指の長老マンション。昭和39年築とのことなのでもう少しで還暦です。

たまたまここを見たいというお客さんにご一緒させてもらったんですが、前から一度見てみたかったんです。

というのも、40年越えるとさすがにライフスタイルに合わないだろうし、かなり痛んでるのだろうか、という興味があったのです。

で現地に赴いたわけですが、なんというか、歴史の重みというか、ちょっとオーラが出てる感じ。『かっこいい・・・』と思わずつぶやく・・・

一緒に見学に来た方も『さすがになんか風格ありますね』と・・・

玄関前のロゴ。書体が渋いです。

この建物、住友商事さんが初めて手掛けたマンションなんだそうで、ロビーは異常に豪華だし、当時の最新設備であったであろう『集合インターホン』も設置されています。

外壁のタイルもざっくりとしたなんとも趣のある素材感と色。村野藤吾さんの建築を彷彿とさせます。

ちょっと調べたら、民間分譲マンションで一番古いのは東京の『四谷コーポラス』なんですが、関西での民間分譲マンションの第一号がこのメゾン西宮なんだそうです。

当時のマンションはまさに高級住宅で、社長さんや医師、俳優、プロスポーツ選手などの高額所得者しか住めないものだったらしい。

玄関前の庇を見上げると、杉板の型枠跡。合板の型枠が開発される前に建てられた証拠です。

コンクリートなのに木材のような質感があって、最近、この風合いをわざと出すような仕上げも増えているくらい。

きっと現場は杉の香りで包まれてたでしょうね。タイムスリップして工事中の様子を見てみたい。

 

住居内の様子はプライバシーの観点から載せられないんですが、ベランダからの風景はこんな感じ。見下ろすとすごい庭。

一戸建てでもここまで庭が取れるものはなかなかないですよね。ピンポンしてちょっとお邪魔したい衝動をぐっとこらえました・・・

室内はリフォームされていて想像以上にきれい。

ただ、新築当時の和室はそのまま残されてました。すごい趣のある和室で仕上げはおろか、押入れの棚まで全て無垢材。洋室の床も当時のナラの無垢板フローリング。

まぁ、当時は無垢しかなかったわけですが、大工さんの技術や努力の跡がそこかしこに見られるしつらえは、新建材で簡単に作られた今のマンションと比べとても豊かな空間に感じました。

 

DSC_5799 業者の方曰く、構造体はかなり頑丈に作られているため、耐用年数は未知数とのことで、確かにかなり骨太の作り。

人気の高い阪急西宮北口駅にも近いこともあり、見学希望者はかなり多いとのことでした。

見に行ったのは平面タイプでしたが、ここは大半の住居が複雑なメゾネット形式になっていて、100平米くらいの住戸もあり、やはり当時の高級住宅だったことが偲ばれます。

関西一古い民間マンション、メゾン西宮。老朽マンションといえばそれまでですが、彼には歴史の積み重ねが生んだ風格を感じます。

できれば、建替えせずに、そして新建材で取り繕うことなく、当時の雰囲気を残して改修しながら大事に住みついでもらいたい・・・と真剣に思いました。