マスタープランが行うマンションリフォーム工事では、平面図・天井伏図・電灯コンセント図・設備品番図の基本図面を作成します。
また、基本図面に加え、各室の壁を4面ずつ描いた『展開図』、各建具の仕様と戸当等の枠納まりを描いた『建具図』、リフォームプランのCG画像を使った『パース図』、造作キッチンや家具、その他細かな納まりが出てくる箇所の『詳細図』を作成しています。
その他に、現場マンションの現況図や各室の仕上げ表・目次なども作成し、リフォーム工事で使用する設備機器の承認図を添付しますので、平均すると一つのリフォーム現場で80枚ほどの施工図面を作成する事になります。
施工図面と言っても、どういった事が描かれているのか、なかなか想像がつかないと思いますので、 これまでに作成した図面を例に出しながら、少しずつではありますが、ご紹介していこうと思います。
基本図面(平面図・天井伏図・電灯コンセント図・設備品番図)
平面図は、採寸字の寸法を基に作成した現況図に新たなプランニングが描かれています。
方角、各室の天井高、杉フローリングの張り方向、照明の位置、仕上げ素材の違い、梁の位置を把握する事が出来、間取り図外には、各室の仕上げ、建具の仕様・サイズ、設備機器・照明の品番、特記事項を記しています。
マンションリフォームの際には大抵の場合、管理組合から工事申請書と一緒に工事図面・仕様書を提出するように求められますが、平面図にかなりの情報量が含まれているので、この図面のみで工事申請に対応する事が出来ています。
天井伏図は、天井を見上げた時の見取り図で、部屋による天井仕上げ・高さの違いや、仕上げ材の張り方向が描かれています。
また、ダウンライトやダクトレールなどの天井に取り付けられる照明、火災警報器、換気扇等の取り付け位置寸法も記されています。
電灯コンセント図は、コンセント・スイッチの数や取付位置が描かれています。
玄関ダウンライトのセンサースイッチや浴室換気扇のタイマースイッチ、接地極付きコンセントの新設、インターフォン等を移設する時は、この図面でその旨を記しておきます。
設備機器イメージ・品番図は、リフォーム工事で使用する設備機器・照明器具の画像と品番を載せています。現場に入ってくる製品に間違いが無いか、この図面によって確認する事が出来ます。
展開図
展開図は各室をA・B・C・Dの4つ方向に分けて、室内垂直面の仕上げ等が描かれています。
壁・床・天井の形状や仕上げ、床コンクリート面からの高さ、既存のエアコンスリーブ位置、鴨居などの造作や照明の取り付け位置・高さなど大抵の事が把握出来る図面になります。
展開図では、各素材に色を付ける事で(例えば、杉→茶色、ガラス→水色) 素材の違いをはっきとさせ、奥まっている箇所には陰を付けたりする事で図面上でも遠近感を把握しやすくしています。
また、間接照明部分や鴨居欄間、インプラス設置箇所の納まりなど、展開図だけでは描ききれない細かな部分は別途、詳細図を描きようにしています。
マンションリフォーム工事はこの展開図を中心として進んで行きますので、各種図面の中でも特に重要な図面になりますので、出来るだけ現場が解体されてから共有縦管や躯体位置等を確認し、精度の高い図面を描けるように心がけています。
建具図
建具図は各建具の水平垂直、両方向の断面図、仕様、姿図に加え、鴨居・戸当たり等の枠周りの納まりが描かれています。
引き戸の壁からの距離寸法や鴨居と上吊レールの位置関係、框戸の場合は木材の寸法などは、壁面の仕上げ素材(壁紙・珪藻土左官塗り)や引き戸の種類(片引き戸・引込戸・開き戸)により、微妙な寸法変更が必要になります。
また、上吊引き戸のレール(ソフトクローズ・キャッチタイプ)、スライド丁番、ヒンジ、ハンドルなど建具に使用する金物品番も記しています。
パース図
パース図はCGで作成したマンションリフォームの完成プランを展開図と同様に各部屋4面ずつの画像を載せています。
展開図だけでは、全体の雰囲気や奥行きなどの感覚は把握しにくいので、現場の大工さんにも重宝がられている図面です。このリフォーム工事完成後のパース画像をつける事によって、現場での大きな間違いは各段に少なくなります。
詳細図
詳細図は展開図で描ききれなかった細かな納まりが必要になる箇所や、造作キッチンや造作家具、タタミユニットなどについて描かれています。
造作キッチンだと、引出しの幅や奥行き、高さなど細かな寸法指定が必要になりますし、ガラス欄間やパネルの取付となると、その嵌めこみ方法や強度なども考慮しながらの図面作成になりますので、複雑な図面になりやすい図面です。
また、平面や断面だけでは、どうしても伝わり難い箇所においては、立体的に図面を描く事で、職人さんが理解しやすくなるようにしています。
目次・仕上表・メーカー承認図
その他には、製本時の目次やリフォームする各室の仕上表、現況図などを作成し、施工図面と一緒に製本します。
また、製本にはマンションリフォームで使用する設備機器メーカーさんが出している承認図を添付するようにしています。洗面やトイレなどの給排水配管の立ち上がり位置や施工方法が記されていますので、工事最初の仕込み作業の際には、とても大事な図面になります。
作成した図面は一枚一枚がバラバラだと工事現場でゴチャゴチャになってしまいますし、作成した施工図面は施主さんにもお渡ししてゆっくりとご覧頂きたいので、製本をして一冊の本に仕上げます。
その製本作業は施主さん用・工事現場用・マスタープラン用で3部作成するようにしており、A3サイズの固めのプリント用紙にカラー印刷をし、一枚一枚を半分に折り、スプレー糊で繋げていく事で一冊の本に仕上げています。
もちろん全て手作業ですので、小口が波打っていたりして、売り物のようにきれいな本にはなりませんが、味のある手づくり製本図面が出来上がります。
展開図の説明の時にも少し触れましたが、展開図等では杉は茶色、ガラスは水色、などと素材の違いが分かるように色をつけているせいか、近頃は建築図面というよりか「絵本」に近づいてきています・・・(笑)
約80枚ほどの図面を半分に折り、一枚ずつ貼りつけていくと、一冊が約30mmほどの厚さになる事もあります。
そうなると重さも結構ありますので、「迷惑かな・・・」っと不安になる時もありますが、施主さんにお渡しする時は、いつもすごく喜んで頂いています。
また、製本図面の分厚さをご覧になり、「マンションリフォームでここまでたくさんの図面を描くとは思わなかった」っと、驚かれる事がよくありますが、専有部分の限られた面積の中でプランニングを進めていくと、どうしても細かく複雑な納まりがでてきますので、私たちとしてはこれくらいの枚数を描かないと不安です。
施主さんとお打合せを重ねる事で出来上がったリフォームのプランを、間違いなく大工・職人さんに伝え、質の良いお住まいに仕上げる為には、施工図面がとても大事になってくると考えて います。
最後に、マンションリフォームの施工図面は完成見学会の際に、これまでの施工物件の製本図面と併せて展示し、お越し頂いた方々には自由にご覧頂いております。
杉や珪藻土など自然素材をふんだんに使った大規模なマンションリフォームを検討されている方&思った通りの住まいつくりが出来るか不安に思われている方は、ぜひ一度リフォームのご参考にご覧頂ければと思います。