木のマンションリフォーム・リノベーション-マスタープラン一級建築士事務所(大阪/兵庫/西宮/神戸/芦屋/宝塚)

マンションリフォームでの断熱改修と調湿素材の効果


先日京都のUさんと伊丹Oさん邸にお伺いさせて頂きました。O邸では外壁廻りの断熱改修、開口部全ての内窓設置を行っていますので、Oさんに温熱環境について色々話を伺ったところ、なかなか興味深い内容でしたので備忘録としてまとめ。

 

●住戸内の温度ムラと周壁面温度と室温の乖離がほとんどない

お伺いした日は気温は低かったですが、日差しはそれなりにありました。お伺いした際にエアコンで少し暖房してくれていた(赤ちゃんがいるので寒くないように)のですが、少し暑かったので切ってもらいました。お聞きすると今冬初めての暖房だったそうです。ここ数日でかなり寒い日ありましたけど、使わないでもいけたんだなぁ。

暖房切って1時間ほどしての室温は20度前後、放射温度計で壁・床・天井など測ったところ全て20度前後でした。人が感じる体感温度は室温と周壁面温度の和の平均ですので、体感温度と室温がほとんど同じといえる理想的な状態だったわけです。

日差しもあったので南側だけかなと北側の部屋の壁も測りましたが同じく20度前後。これは少し驚いた。聞くと北側の部屋で着替えられていて、寒くないとのことでした。

お仕事で日中は留守が多いのですが、カーテンを開けておいて昼間の日射を取り込めるようにしておくと、帰ってきたときに家全体が暖かいそうです。日射のダイレクトゲインを取り込んで、それを溜め込んでいるという証拠ですね。逆に夏場の日射に気をつけないといけないわけです。

 

●生活は以前と変わらないが、結露は完全に止まっている

O邸は角部屋で窓が多くある住戸ですが、全ての窓に樹脂製の内窓をペアガラスで設けてあります。床は杉フローリング、また壁は全て珪藻土(エコクイーン)こて塗りという環境です。

リフォーム前は窓の結露がひどかったそうですが、今のところは窓やガラスの結露は見ていない、とのこと。またリフォーム前は外壁の出隅部分は結露とカビが大量に発生していましたが、それももちろん出ていません。

鍋をよくしたりという生活は変えておられないそうなので、発生している水蒸気量は変わっていないはずですから、断熱や内窓によって壁や窓ガラスの表面温度が下がらなくなり、結露の発生そのものを抑えているということだとは思います。

で、一つ気になるのは玄関ドアです。従前はかなり結露していたようですが、今年はまだしていないとのこと。しかし断熱に関しては何も触ってませんので、表面温度は同じように下がっているはず。結露が起こってしかるべきです。なぜなんだろう?

ひょっとしたら、珪藻土や杉といった材料が余分な水蒸気を調整してくれているのもあるのか・・・こんなこと書くと温熱系詳しい人に怒られますのであくまで可能性ということで・・・

Oさんには、たぶん玄関ドアはそのうち結露すると思います、とはお伝えしておきました。マンションでの断熱の一番のネックはここなんだよなぁ。

 

マンションって暖かい、だから断熱なんて、というのは建築関連の方でも言われることなのですが、やはり北側の部屋はよく冷えます。冬場は寒いし結露もひどいので北の部屋は使わない、なんて方も多いです。暖房についても、付けているリビングは暖かいけど、廊下や北側は寒い、というのが現状。

家の快適性って、デザインや間取り、採光や通風の工夫も大きいけれど、住みだしてから四季を通してみると、寒さ・暑さのストレスがかなり大きいことに気付きます。結露もそうですよね。

なので今回のOさん邸のように、南も北も、壁も床も同じ温度の環境って本当に快適で、住んでからの満足度は高くなるだろうなぁと。デザイン良くても寒くて暑かったら、年々ストレスは溜まっていくはずです。今住まれている住戸のリフォーム時に話を伺うとそれがよく分かる。

またランニングコストも暖房エネルギーが少なくなる分安くなるわけですが、コストだけに捉われるとイニシャルコストが何年でペイできるか、という賃貸の利回りのような話になっちゃって寂しい。『快適だなぁ』という感覚はコストに表せないところがあるはずです。風邪も引きにくくなれば医療費も安くなるしね・・・

 

それとカビ対策としては、断熱なんかしなくても漆喰を使えば大丈夫、ということをおっしゃる方も多いんですが、これはかなり乱暴な意見。

漆喰のアルカリ性をカビが嫌うのは確かなので、ひょっとしたら表面にはカビは生えなくなるのかもしれない。けど、壁の表面温度は変わらないから結露する環境は変わらない。裏面でカビが生えている可能性も十分ある。そして、断熱していない以上、冷え込みの現状は変わらないわけです。

もうひとつ、前述のアルカリ性の話も含め、調湿素材を使うことは私たちもお勧めしてますが、それが結露の防止に繋がるか、というと、補足してくれることはあっても、全てを解決してくれるというのは少し期待が大きすぎるかと・・・

 

病気を治すなら、塗り薬などに頼るのではなくて、体内の病気の原因から治すことが重要ですよね。私たちとしては、結露とカビを完全に止めたければ、あくまで断熱改修をした上で、調湿材を使うことをお勧めします。

とにかく、冬本番の1、2月がどうなるか、また電気代についても今後長いスパンで検証していきたいところだなぁ。やはりデジタル温湿度計で1時間ごとのデータを採らせてもらったほうがいいかなぁ・・・できれば上下階の断熱リフォームしていない住戸と比較させてもらうと面白いでしょうね。普通は嫌がるでしょうけど・・・


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