先週土曜日、宝塚のマンションリノベーション現場にて『漆喰セルフ塗り壁体験会』を開催しました。
私はじめスタッフも待ちに待ったしっくい塗り。いつもは帰るの遅いですが、前日は7時に帰って体調も万全(笑)
イベントは午後からだったのですが、左官屋さんと施主のKさんご夫妻、私たちスタッフは朝九時から現場集合。
まずは左官屋さんからしっくいを混ぜるところからレクチャーを受けます。
今回使うしっくい『マリンライム』は工場で混ぜ合わせたものがパックされています。昔は現場で消石灰と水と糊を混ぜていたそうですが、メーカーの方曰く『人によって調合が違うので質が安定しない』とのことでプレミックスされているそうです。
混ぜてあるんだからすぐに塗れるのかと思いきや、結構硬くなっています。例えるなら紙粘土のような状態。これじゃ塗れないので、まずは攪拌します。
左官の伊高さんが持っているのが『攪拌機』。要は生クリームを混ぜるミキサーの巨大版。これを硬いしっくいに体重を掛けてねじ込み、少しずつ回転させていきます。屋台のたこ焼きやさんもバケツにこれで混ぜてるそうです。混ぜているうちに沈殿していた水分が混じり、だんだん柔らかくなってきます。山芋みたいです・・・
しっくいも混ざったところで早速しっくい塗り開始。まずは端材の石膏ボードを使って、伊高さんからコテ塗りのレクチャーを受けます。なんかみんな妙にソワソワしています・・・
施主さんと並んで私もレクチャーを・・・昔、珪藻土を事務所で塗ったことがあって、シャバシャバしててとても塗りにくかった記憶があるんですが、しっくいは結構粘度があって扱いやすい。しかし、コテさばきはかなりコツが要ります。どうもうまく塗れず苦戦・・・
今度は池ちゃんが練習。昔、自分の部屋の壁に珪藻土を塗ったとのことで期待していたのですが・・・下手の横好きであることが判明しました・・・(笑)しかし目が輝いています。妙にテンションも高い(笑)
みんなお揃いのレインコートを用意したんですが、なんか怪しい集団っぽい・・・
こちら、子供用に大工さんが作ってくれたコテ板。大人用より一回り小さく作っています。が、今回、子供の参加者がゼロになってしまったため、女性陣が使うことに・・・かわいくてなかなか好評でした。
入念な練習ののち、まずは施主さんから塗ってもらいました。今回、目立つリビングは施主さんに、私たちは廊下まわりから塗ることに。リビングの壁に付けた棚の取り合いはなかなか手間が掛かります。しかし、二人ともうまい・・・サクサク塗れてしまい、左官屋さんもおどろき。
そして我ら素人集団も廊下の壁塗りに取り掛かります。工務店さんの女性スタッフと現場監督も交え、慣れない手つきで塗っていきます・・・難しいけど面白い♪みんな作業に没頭して会話もありません(笑)あっという間にお昼に・・・
昼食後、イベントに申し込んで頂いたお客さんと合流。本当に今日を楽しみにしてくれていたようで嬉しい。同じくレインコートに着替えてもらい、私から漆喰の歴史とかチラッと説明したのち、まずは練習です。みんなコツを掴むのが早い。これなら自分の家もいつでもセルフで塗れますね(笑)
そんなお客さんの様子を後ろでちらちら見る私・・・なんか、私だけ異常にレインコートが大きくて、化学物質処理班みたいで池ちゃんに笑われました(笑)練習後、早速塗りを手伝っていただきます。
おやつ休憩には施主さんがお菓子とコーヒーを振舞ってくれました。ありがたいです。疲れた体に甘いものが染み渡る~。当然、一番に休憩し始めたのは虚弱体質の私です・・・(笑)
昼までおばあちゃんの家に行っていたお姉ちゃんたちがここから参戦。みなが練習したあとのボードを使ってお絵かき。とても楽しそう・・・ああ、ズボンにしっくい付いてるよ!・・・(笑)
最後のラストスパート。イベント時間が4時間もあって長いかと思いましたけど、『4時間なんてあっという間ですね~』と参加してくれたお客さん。もうあたりは暗くなってきて、定刻を過ぎてしまいましたが、熱中しだすとなかなか止められない・・・私もかなり熱中した結果分かったのは、コテを持つ右手より、コテ板を持つ左手の方がだるくなるということでした・・・これは以外な発見。妙な力が入ってるのでしょうか・・・と、ここで終了で~す。
リビングの壁2面を施主さん、玄関廊下周りとトイレをスタッフ、ウォークインクローゼットの内部をお客さんに塗って頂きました。それぞれ個性がしっかり出てますが(笑)、あまりコテ跡を残さない、ソリッドでラフな感じに仕上がりました。これで3分の1くらいは終わった感じです。
漆喰塗りを体験してみて、改めて左官屋さんのすごさを実感しました。まずうまく材料が壁に付かない。コテでならしても全然平らにならない・・・でも、うまくできないけど、とても楽しい(笑)みんな嬉しそうだったのが印象的でした。
土壁の家が主流だった時代、どんな家でも必ず左官屋さんの出番がありました。が、今の家、特にマンションではそんな機会はまずない。本当に廃れていく一方のこの技術は、日本の伝統として残さないといけない、繊細な職人ワザなんだと実感。
しっくいには耐火性、調湿性のほか、殺菌性があることも最近の研究で分かってきています。また、アルカリ性の性質はカビを防ぐ効果もあり、気密性が高くカビの生えやすいマンションには持ってこいの素材。
高松塚古墳の壁画の下地にしっくいが使われていたことも有名ですが、城郭建築の時代に花開き、日本古来の塗り壁として伝えられてきたこの素材をリノベーションで活かすことは、杉などの国産材を使うことと同じく大きな意義があることだと思いました。
今回、ボランティア的なイベントながらご参加いただいたお客さま、そしてそんなちょっと変わったイベントを快く開催させて頂いた施主さん、本当にありがとうございました!これからもどんどん企画してやろうとたくらんでいますので、ご興味ある方はぜひご参加下さい。
PS ちなみにここからは施主さんの孤独で長い戦いが始まります。私も定期的に覗いて協力したいと思います・・・役に立つかどうかは別ですが・・・(笑)