PK22

デザイナー:ポール・ケアホルム(1956)
メーカー:フリッツハンセン(E. Kold Christensen)

籐張りのPK22。薄い座面だけが浮いているようにみえる繊細なデザイン(撮影協力:北欧家具talo)

今回はポール・ケアホルムのPK22をご紹介します。発売当初はE. Kold Christensenという会社が製造していましたが、現在はフリッツハンセン社が製造販売しています。

ケアホルムは18歳で家具職人の資格を取得後、Yチェアで有名なウェグナーが学んだコペンハーゲン美術工芸学校に入学。そのとき教鞭を取っていたのがウェグナー本人で、卒業後は彼の事務所で数年働いていた、という経歴の持ち主。

後ろからのヒップラインのシルエットも抜かりない

彼の作品の大きな特徴はステンレススチールと自然素材の組み合わせ。力学的に無理のない構造を繊細な部材で構成しつつ、金属の冷たさを感じさせないデザインを得意としています。構造からデザインへ、というスタイルは木と金属の違いはあれど、師匠の影響を大きく感じさせます。

籐張りの両端は網カゴのようで工芸的な美しさと温かさ。

特にPK22は、金属脚を極力薄くすることで籐張りの座面が浮いているような軽やかなデザインが秀逸で、マット仕上げのステンレス脚は無垢床との相性も抜群。

ケアホルムデザインの真骨頂を味わえる一脚で、個人的にシルエットが最も「かっこいい」と思う椅子の一つです。

経済合理性と名作家具のこれから

クライアントの私物の黒レザーバージョン

さて、個人的に籐張りがこの椅子のデザインコンセプトを最も体現していると勝手に思ってます。その他レザー張りや布張り仕様もあり、販売店やメーカーでは、デリケートな籐よりもそちらを勧めているとのこと。

脚部はソリッドな素材ながら昆虫の脚のような有機的なデザイン。
ちなみに籐とレザーではビス位置など構造が微妙に違う。

Yチェアも座面がペーパーコードではなくレザーの仕様が数年前に発売されました。戦争で物資のない時代、荷造り用の紐を座面に使うという発想も含めてのYチェアのはずで、ちょっとこれどうなんかなぁと個人的にモヤモヤしました。

建築でいえば、無垢床のクレーム避けて合板床勧めるみたいな話で、名作のデザインが合理性の名のもとに改悪されていかないか、椅子好きおじさんとしてはとても心配しながら各メーカーの動向を見守っているところです。

ちなみにこのPK22はゆっくりリラックスできる座り心地、という椅子ではないですが、繊細なシルエットが醸し出す洗練された雰囲気は群を抜いてます。リビングや半外空間にそっと配置すれば、建物のグレードを爆上げしてくれる頼もしい一脚です。