南茨木の家

茨木I邸マンションリノベーション

『本棚ベッドのあるワンルーム空間の塗り壁の住まい』
竣工: 2011/02
設計監理: 小谷和也 池田郁夫
写真撮影: 小谷和也
RCラーメン構造
1973年築
70.79㎡

Iさんとはホームページから資料請求頂いたのがきっかけでお会いしました。関東から実家のある茨木市に帰って来られるにあたり、一人住まいのための物件を駅前の大規模マンションのみに絞って探されていました。私たちも物件調査にお付き合いさせて頂きながら物件を購入されました。

阪急、モノレールの駅から徒歩3分の利便性の高い築38年、70平米ちょっとのマンション。築年数もあり内部はかなり痛んでおり、天井高も低め。外壁面には断熱材も入っておらず、北面の壁にはかなりひどいカビも見受けられました。物件を見させて頂いた段階で、大前提として断熱改修と内窓設置をお勧めしました。

Iさんのご要望はご友人や息子さんが泊まるための部屋が欲しいこと、水周り以外は寝室も含め全てLDKで済ますことのできる家というもの。そこで水周りの動線を確保しつつ、予備室と小さなWCLのみのほぼ1LDKの空間をご提案しました。

そもそもの天井高さが低く、また天井直仕上げであったため、基本的には天井に照明を付けないこと、壁の上部を透明ガラスとすることで全ての部屋の天井が繋がるようにして、限られた空間でも広さや開放感を最大限感じられるよう配慮しました。

物件南側の3分の2を占める正方形のLDKには中央に杉の5寸角の柱を設け、柱を基点に4つの機能、リビング・ダイニング・キッチン・ベッドスペースを田の字型に配置しています。特にベッドスペースはL字型に杉巾はぎ板を使った本棚を設けて曖昧に区切り、南北の通風の経路を確保することでエアコンに頼らない生活を送れるように考えました。

前述の断熱改修はもちろん、山桜の無垢板を使ったキッチンカウンターや洗面カウンター、シナ共芯合板とステンレス1ミリ厚カウンターを使った大工造作キッチン、モザイクタイルを組み合わせたトイレや洗面、壁一面に設けた収納カウンター、壁全てを珪藻土塗りとするなど、長持ちする素材を使いながらシンプルなシングルライフを満喫できる家、となりました。

お引渡し後も何度かお伺いさせて頂きましたが、こちらが用意させて頂いた素の木の家を上手に住みこなして頂いている様子でとてもありがたいです。いつでもお客さん連れてきて下さいとお声掛け頂いていますので今後ともお世話になると思いますがよろしくお願いいたします。

<after>人と風の動線を確保した杉と珪藻土の大空間1LDKの住まい

<お引き渡し後1年経った木の住まい>

<before>築38年、内部の老朽化が著しい無断熱、70平米強のマンション