マンションリノベーションの基礎知識(初級編)

ここではマンションリノベーションを考えるにあたり知っておいて頂きたい基礎知識をまとめてみます。

専有部分と共有部分について

はじめに、リノベーションで触ることができるのはあくまで専有部分のみです。共有部分は触ることができません。

専有部分

区分所有法という法律で、それぞれ個人の所有権が確立している部分のこと。住戸の内側(リビングやその他の部屋・水廻り・玄関など)の内装材・ドアなどの建具や、キッチン・ユニットバスなどの設備機器は専有部分にあたります。

共有部分

マンションの所有者全員が所有権を持つ部分のこと。外壁や屋根、バルコニーなどの構造体とロビー・廊下などの住人全員で使用する部分をいいます。玄関のドアやサッシ、室内を通る排水用の縦管(上下の住戸を繋いでいるもの)は共有部分になります。

バルコニーは共用部分の専用使用部分

他の共用部分、例えばエレベーターは住人全員の財産で、居住者であれば誰でも使えます。

一方、バルコニーは共用部分であり住人全員の財産ですが、バルコニーとつながっている居室の所有者だけが使用できる「専用使用部分」といい、共用部分ですが、特定の区分所有者が独占して使用できる権利が認められています。

ですが、災害時の各戸の避難経路ともなりますし、建物の美観も左右する共用部分です。大きな物置なども原則設置不可ですが、取り外せるスノコ状のデッキなどは設置できます。

管理規約について

マンションの専有部分のリフォームに関する取り決めは管理組合の管理規約によって定められています。

特に床材の遮音性能や構造について言及されている部分は要注意です。

遮音性能については、一般的には推定L等級でのLL-45以上の性能を求められるマンションが多いです。まれにLL-40というもう一段上の性能を求められる場合がありますので気を付けましょう。

また床材についての指定がされている場合もあります。まれに騒音対策としてカーペット以外の床材を禁止している物件もあります。現状がカーペット敷きの物件の場合、購入前に必ず管理規約を確認するようにしましょう。

工事申請書について

専有部分の工事を行うにあたり管理組合に工事申請書を提出する必要があります。ひな形は管理事務所に問い合わせればもらうことができます。

様式はマンションごとに違うのが一般的で、ひな形がなくこちらで作成する必要があったり、まれに申請そのものが必要ない場合もありますが、それでも必ず近隣の方には工事のあいさつを行うよう心掛けるべきです。

工事申請書の提出期限についてもマンションごとに異なり、工事着工一週間前までに提出というところが多いです。まれに1か月前に提出しないといけないマンションもあったりしますので確認しておきましょう。

また工事申請書を共に提出する書類としては、平面図・仕様書・工程表の三点セットが必要な場合が多くなっています。

もうひとつ気を付けないといけないのが、申請の際に近隣住戸の許可をもらう必要がある場合です。留守がちでなかなか会えない場合などもありますので早めに回っておきましょう。どうしても会えない方がおられる場合はその旨を管理組合に早めに伝えておくことです。

竣工図(しゅんこうず)の確認

設備だけを交換する部分リフォームでは関係ないですが、全面スケルトンリノベーションで設備位置や配管の全交換を行う場合には、竣工図の確認が欠かせません。

竣工図(しゅんこうず)というのはマンションを新築する際の設計図面のことで、通常は解体しないと分からない給排水や換気配管、電気配線などのほか、建物の断熱仕様やスラブ厚、高さの情報などを知ることができます。

大抵はマンションの管理人室や集会室などに保管されています。管理人さんにリフォームにあたり図面を確認させて欲しいと伝えてください。

ちなみに竣工図は見開きでA1サイズの大きさがあるので、コピーが難しいです。貸し出しを認めていないことも多いので、現地で写真に撮ってデータ化するのがよいです。

〈竣工図で確認すべきポイント〉
  • 給水、給湯、排水、ガス、換気配管経路の確認
  • 共有竪管位置と径の確認
  • メーターボックスから住戸への配管取込位置
  • スラブ厚と階高(スラブ間有効寸法)
  • スラブ高低差の確認
  • 梁サイズ、柱サイズの確認
  • 断熱材仕様、外部GL厚みの確認