『杉床と無垢の家具のあるリノベーション』神戸市灘区
竣工: 2009/05
設計監理: 小谷和也 池田郁夫
写真撮影: 小谷和也
RCラーメン構造
1978年築
80.72㎡
神戸市灘区、六甲ケーブル下駅すぐの斜面地に建つ築30年、約80平米の住まい。ホームページからお問い合わせ頂き、初めて事務所に来て頂いたのは2008年の秋のこと。マンションの裏側には滝があって、廊下はいつも滝の音が聞こえ、マイナスイオンがいっぱい・・・猪や蛍も出てきて、河鹿も鳴くという素敵な環境。
お子さんもそれぞれ独立され、翌年に定年を迎えるご主人と奥さま、ご主人のお母さんの3人家族。ニューヨークマラソンや東京マラソンにも参加するアクティブなご夫婦はまるで漫才をされているかのような軽快なトークで面白くて、お菓子作りが趣味のお母さんには手作りのキャラメルやケーキを頂いたり、楽しい打ち合わせをさせて頂きました。
真四角でなく、凸型のような特徴的な住戸のため、大胆なプラン変更は難しい。ただ、お母さんの部屋である和室は窓がなく暗いので、子供たちが使っていた明るい部屋に移動して、二部屋続きの居間を一つにつなげ、大きなリビングとして、一角は客間やパソコンコーナーとして使えるセカンドリビングのような空間として再構築することにしました。
木が大好きなご夫婦と意気投合し、廊下や寝室には床だけでなく天井にも無垢の杉材を使って、木のサンドイッチ空間に、またリビングや玄関、キッチンには無垢杉のパネルを使い、大工さんに現場で組み上げてもらう家具を配置。要所に間接照明を使いながら天井高さを使った収納なども設置しました。
新築時から一度も替えずに使ってきたというキッチンやカーペットはまだまだしっかりしていて、ご夫婦はじめご家族がいかに丁寧に住んでこられたかを伝えるものでした。そんなご家族に使い込めば使い込むほど味の深まる無垢材の床や家具はとても合っているはず。木を多く使いながら、野暮ったくなく、それでいてシンプルな空間、そして温かくて柔らかい。そんな木の住まいとなりました。
<after>床と天井、家具にもスギ材を使った温かくて柔らかい木の住まい
<before>約80平米、窓のない和室のある3LDK、築30年のマンション。