ヒノキ小幅板風羽目板講座 その3 『長手方向の継ぎ目をアクセントに』

皆さんこんにちは、小谷です。ヒノキ小幅板風羽目板のデザインをした私自ら羽目板の使い方をお伝えするこのコーナー、今回も天井の貼り方ということで、毎回テーマになっている長手方向の継ぎ目をどう処理するかを考えていきたいと思います。これまでは溝を取ったり、ダクトレールを埋め込んだりすることで小幅感を損なわない方法をご紹介してきましたが、今回は部材をもう一つ足していく方法です。まずは事例を見て頂きましょう。

↑ヒノキ小幅板風羽目板 W100 2本溝3枚 柾目 オイル塗装 (久が原の家 2021)

こちらは東京都大田区でのマンションリノベーション事例「久が原の家」のリビング。1m前後の長さで張った羽目板の継ぎ目を下から押縁を打って仕上げることで、小幅の板が並んでいる雰囲気を崩さないように配慮しています。小幅板もなるべく木目を揃えないように貼ることでより小幅感が出てきます。

窓方向から見てみます。押縁のピッチは1000ミリ、押縁は25ミリ。羽目板は1000ミリ長さでも発注できるため歩留まりがよくなりますが、貼り手間は増えます。細かいピッチで押縁を打ってしまうと格天井のようになって和風がきつくなりますが、このくらい広いピッチだと和風というより北欧っぽさを感じるように思います。

ちなみに照明のダクトレールを埋め込むにあたり、板の溝ピッチがずれることのないよう羽目板は2本溝3本バージョンにしました。100ミリ働きを三等分なので33ミリになり、ダクトレールの33ミリと揃うため長手の溝のずれが生まれない、という計算です。

↑スギ小幅板風羽目板 W125 3本溝4枚 板目 オイル塗装 (olo 2020)

こちらはスギ小幅板風羽目板の押縁仕上げ。割付の関係で押縁のピッチは600ミリ程度にしています。杉はどうしても色が濃く目が粗いため、押縁の存在が目立ちますので、ヒノキの方が向いているかもしれません。ちなみに押縁をもっと増やしたり、減らしたり、形状をいろいろ変えてみたりというバリエーションも楽しめる貼り方だと思います。次回はさらに別の小幅板の張り方をご紹介できればと思います。