日本古来の知恵を活かした工夫

日本古来の古民家にはたくさんの知恵が詰め込まれている(川崎市立日本民家園にて)

日本は建築技術という意味においては世界一だと思っています。特に昔ながらの木造の日本家屋、古民家には大工さんや建具屋さんの技術によるさまざまな工夫が詰め込まれていて、現代の私たちが見ても驚くようなアクロバティックな仕掛けがあったりします。

マンションリノベーションに古民家は関係ないだろう、と思うなかれ。

今も昔も日本人の抱く悩みは変わらないのかどうか分かりませんが、特に建具の工夫に関しては現代に生きる私たちにも活かせるアイデアがいっぱいです。

ここでは、古民家探訪好きな私が実際設計に取り入れた古民家の知恵を動画を交えつつご紹介していきます。

回転障子(かいてんしょうじ)

中目黒の家の回転障子

リビングに面した畳スペースを要望される方はとても多いのですが、その際に問題になるのが『建具をどうするか』です。

昼間はリビングの延長として使うけれど、夜は仕切って寝室として使いたい、という声は非常に多いのですが、普通の引戸では建具の引き残しが必ず残るのでリビングの延長という形になりにくいです。

なので完全にしまい込める建具はできないかな・・・と考えたのがその名も『回転障子』です。まずは動画をご覧ください。

昼間は完全にオープンになっている畳スペースが、壁の中にしまわれた障子を引き出し、コーナー部で回転させることによって完全に閉じることができるようになっています。

中目黒の家、小上がり畳スペースから障子をみる

中からみるとこんな感じになっています。

この回転障子の元ネタは日本家屋の雨戸の仕組みから発想しています。戸袋が取れないコーナーの縁側などで、溝の外周に丸棒を立てておくことで、棒を支点に雨戸を回転させるという仕組み。

ちなみにこの写真は香川県の栗林公園の掬月亭(きくげつてい)の縁側。

栗林公園ホームページ

ここ、すごく素敵なのでぜひ一度行ってみてください!

無双壁(むそうかべ)

垂水の家の無双壁

続いてもリビングに面した寝室との関係性を調整する建具シリーズ。

こちらは寝室はベッドをおいてリビングの延長としては使わないけれど、寝る際のリビングからの冷暖房の効きや風通し、採光をある程度目隠ししながら取りたい、という要望でした。

ただ引戸で仕切るだけだと開けるか閉めるかしかないのであまり目隠しにはならない・・・ということで考えたのがこちら、名付けて『無双壁』です。

2枚の格子を互い違いに設け、そのうち一枚だけスライドすることで閉じたり開いたりできるようにしています。

寝室側からみるとこんな感じ。開けているときは格子としてさりげなく目隠ししつつ空気は通る、閉めると完全にふさぐこともできるというわけです。

こちらの元ネタは無双(むそう)という日本家屋でよくみられる通風の仕組み。夏を旨としていた日本家屋にはこういった通風の仕組みが色々とみられて非常に面白いです。