木造一戸建て住宅にくらべ、鉄筋コンクリートのマンションは暖かいとよく言われます。
確かに一戸建てって寒いです。特に田舎の古い家なんて室外より室内の方が気温が低いことさえあります。
なぜマンションが暖かいかというと、大きくは以下の点が関係しています。
- 鉄筋コンクリート造は木造に比べスキマが少ない(気密性が高い)
- 上下左右を隣家に囲まれていて、外に面する面積が少ない
- 一戸建てに比べ南側の日当たりがよく、日射熱が取り込みやすい(ダイレクトゲイン)
- 木に比べコンクリートは熱を蓄える力(蓄熱量)が大きく、昼間の熱を夜まで持ち越す
これは鉄筋コンクリートマンションのメリットであるわけですが、これらはそのままデメリットにも繋がります。それぞれのメリットとデメリットを考えてみることにします。
マンションが暖かいわけ その1
- メリット :鉄筋コンクリート造は木造に比べスキマが少ない
- デメリット:結露が発生しやすい
スキマが少なく気密性が高いがゆえに、木造住宅に比べると空気が入れ替わりにくく、水蒸気が家の中に溜まるために結露が発生しやすくなります。
ただスキマが多いのは古い木造住宅の場合で、最近の木造は気密性も上がっているため、窓面の断熱性能によっては木造でも結露が多くなります。
マンションが暖かいわけ その2
- メリット :上下左右を隣家に囲まれているため、各戸がそれぞれ暖めあっている
- デメリット:一階や最上階、角部屋は寒暖の差が激しい
上下左右に部屋があることで、周りの部屋の室温によって温度が変化しにくくなります。ただし一階や最上階、角部屋は外に面しているためそれだけ外気の影響を受けやすくなります。
マンションでも周りはほとんど外壁という場合は寒さは一戸建てとさして変わりませんし、場合によってはより寒いケースも考えられます。
マンションが暖かいわけ その3
- メリット :一戸建てに比べ南側の日当たりがよく、日射熱が取り込みやすい
- デメリット:南側と北側の温度差が大きい
特に冬場は太陽の角度が低く(南中時で地上から30度)、南側のリビングはかなり奥まで日が差し込みます。天気のいい日は窓際にいると暖房要らずですが、逆に日の当たらない北側は冷えてますので、南側のリビングは暖かく、北側の寝室は寒いという温度差が大きくなりがちです。
南側の太陽の光を最大限に活用し、光と風を通すことが重要になります。
マンションが暖かいわけ その4
- メリット :コンクリートは蓄熱量が大きく、昼間の熱を夜まで持ち越す
- デメリット:熱を蓄えすぎて不快なときがある
土鍋は温めるのに時間は掛かりますが、一度熱くなるとなかなか冷えません。これは土の蓄熱量が多いことによるもので、コンクリートは土のさらに1.5倍の蓄熱量があります。
昼間の日差しはじわじわコンクリートを温め、外が寒くなると熱を放出しはじめます。なので一日中温度が安定しやすいんです。
逆に夏の最上階などは、昼ほぼ真上からの膨大な太陽熱を受け止め、気温が下がる夕方から熱を放出し始めます。これは輻射熱といって、赤外線ストーブと同じ原理。エアコンをかけて室温を下げても、赤外線が直接人体を暖めるので暑く感じます。そのため、最近のマンションでは屋上の防水層のすぐ下に断熱材を入れています。
実家が断熱無しの最上階だったのでつらさは身にしみてます。マンションで快適過ごすためには、断熱工事は欠かせません。
もちろん、上下左右を部屋に囲まれている住戸の場合(人が住んでいることが条件ですが)、夏も涼しくなります。周りの住戸も快適な温
度にするためにエアコンを使うからです。マンションは部屋の位置によって温熱環境が大きく変わりますが、一階や最上階、角部屋ほど魅力的な物件が多いのは事実。ここは物件選びで悩ましいところなのです。