桜ノ宮の家Ⅰ

『ウッドデッキの中庭と黒い板壁の書斎スペースのある家』大阪府大阪市都島区

竣工: 2012/09

設計監理: 小谷和也 池田郁夫

写真撮影: 小谷和也

SRCラーメン構造

1990年築

123.69㎡

Oさんは三田市Fさんの見学会にお越し頂きお話させて頂いたのがきっかけ。もともとご主人のご実家だった1990年築、120㎡超と広い物件をリノベーションしたい、というご相談でした。

南側のほかに2箇所ほど空に開けた中庭のようなバルコニーがある、非常に変わった物件。ただやはり細切れになっている間取りや閉鎖的なカウンターキッチンのほか、またぎが60センチ近くある中庭バルコニーは出入りが大変なため全く使われていない状況。また水周りも広いものの使い勝手はあまり良くない状態でした。

設計はまず、採光や通風、断熱や遮音などの性能を確保することを前提に、動線を確保しつつ、面積を活かしたサブスペースをつないでいく形で行いました。

玄関横に設けたシューズクロークは大きく位置を移動させた浴室と窓を兼用したスペースとして採光や通風、使い勝手を確保。キッチン横に設けたパントリーは物置としての中庭バルコニーにも繋がるバックヤードとしての奥さんのスペースとして確保しました。

家でも仕事をすることがあり、また書類も多いご主人のための書斎はリビングの一角に黒い杉板に囲まれた外のような中のようなスペースとして設け、つかず離れずの距離感を作り出しています。

寝室に面した中庭バルコニーは寝室の床全体を上げ、部屋ごとベッドのような状態にすることでバリアフリー化、ウッドデッキを高く設けることで部屋からの視線が繋がり、引込み障子を閉めることで断熱性も確保できるよう考えました。

モザイクタイルで作ったキッチンは背面に食器収納を造作。大きなリビングの一角には小上がり畳ユニットを設置、廊下に設けたライブラリースペースなど各所に居場所を設け、壁の断熱、窓には全て内窓、さらに断熱ブラインドも設けて断熱改修。

杉床が気持ちのいい、ゆとりのある快適な木のマンションリノベーションとなっています。

<after>ウッドデッキのあるバルコニーや造作家具、モザイクタイルが映える居心地のよい木のリノベーション

<before>120㎡超の大型住戸は部屋数は多いが使い勝手が悪く収納量や明るさ、風通しも不足