twitterでは少しつぶやいてたんですが、先月、大阪の豊能町にあるトコダン企画販売さんにお邪魔しました。目的は『無垢杉床での床暖房』の可能性と現状を詳しく知るためです。無垢杉フローリング、しかも厚板しか使わない私たちにとって、床暖房は一つのネックだったからです。
無垢材、特に私たちの使う杉は木材の中でもかなり高い断熱性があります。それが冬の暖かさと夏の気持ちよさの理由の一つなんですけど、床暖房にとっては熱を伝えるのに時間が掛かる、つまり立ち上がりが遅くなる、ということに繋がります。
もうひとつ、床暖房によって温度が上がると、木材が変形(反りや縮み)する、という問題もあります。そもそも無垢材は湿気の多い時期には伸び、乾燥する時期には縮むというサイクルを繰り返すのですが、特に一般的な床暖房のような60度以上の高温による変形は、元に戻らないそうで・・・
で、行き着いたのがトコダン企画さんが販売している『うらら』という低温水式床暖房。実は知り合いの設計事務所さんから教えてもらって存在は知っていたのですが、バタバタしてまして見にいけずにおりました。
で、数組のお客さんから同時に床暖房の話が出てきて、これは調べとかないと、と動き始めた次第・・・マンションでも築浅だとほとんど床暖房入ってるもんね。使ってない人も多いけど、普段床暖房メインで使ってる方は無垢材にしてもそのまま使いたいでしょうし・・・
ということで満を持してお伺いしてまいりました。担当の大金さんのご自宅にご案内頂いて、実際に床暖房を設置している部屋にお邪魔させて頂きました。私たちが伺う前から床暖房を運転して頂いてるとのこと、きっと床はホットカーペット並みに暖かいんだろうなぁ、と。
ちょうど台風前の涼しい日でしたが、部屋に入った瞬間、体で感じる暖かさを実感。しかし期待して床を触ってみるも、別に暖かくない。むしろ、室温より低いんじゃないかと思ってしまったくらい。ところが、靴下を履いた足の裏は暖かさが分かるんです。不思議・・・
で、大金さんの接触温度計で室温と床表面温度を測ってもらいました。室温が25度、床表面は32.1度。手より足のほうが温度が低いのかな?手は32度以上で、足が32度以下だとか。まぁ、何にしても、暖かい。9月なので、いくら涼しい日といっても・・・暑い(笑)
↑うららの工事中のようす(トコダンさんのHPより拝借)
普通の温水床暖房って、湯を通すパイプは樹脂でできた管を使ってて、太さも結構細い。そもそも樹脂は熱伝導率が低い(断熱性が高い)うえ、管も細いので通せるお湯の量も少ない。つまり床を暖めるにはより高温のお湯を通す必要があります。
そこで、温水を通すパイプ、放熱板などを全て純銅製(熱伝導率は樹脂管の1000倍以上!)にし、管も太くすることで低温のお湯でも暖まる床暖房となっているそうです。低温なので、ランニングコストも安くなるし、無垢材にもやさしいというわけ。
もちろん、銅なのでイニシャルコストはかなり高くなるよう。ただ、樹脂管と比べると寿命が断然長いので、ランニングコストも含めて長い目で考えると安くなるだろうなぁ、と。
それと、手で触って暖かさが分かる温度の床暖房って、長時間居るとしんどいらしい。低温やけどなんて心配もあるしね・・・
しかし、上の写真すごいよね、床一面が銅っていう状況、早く見てみたいな・・・(笑)
その他、マンションでの施工時の納まり、注意点、熱源との配管のことなど、がっつり聞いてきました。うん、これはいいなぁ、と実感。
で、無垢床材の床暖房試験もやってくれるとのことで、自分たちが使っている床材のサンプルを持っていって試験のお願いをしてまいりました。何より、木がどの程度暴れるのか、ってのが一番気になるところなので・・・
で、先日その試験結果が返ってきました。ちょっと高めの温度、55度のお湯を187時間連続で通す本格的な試験。結果は、床材1枚あたり、1.2ミリ程度の縮み、とのことでした。反りやひねりはほとんどなかったようです。よかった・・・
ということで、トコダンさんの許可を得て、試験結果をホームページにまとめました。無垢材での床暖房に興味のある方はぜひ・・・