杉幅はぎ集成棚板について

takaraduka-ih37.jpg木の家を作ってる人なら(おそらく)誰もが悩むのが『棚板を何で作るか』、というところで、例えば収納内部の奥行き300ミリとか450ミリの板をどうするかは結構悩ましい。

既製品でいうと、プリント合板みたいなもので棚板は色々あるけど、せっかく床に無垢材を使っているのに棚板がそういうものというのはどうも引っ掛かる。

結局、シナランバーコアを使うことが一般的に多くて以前はそうしていたけれども、小口のテープ張りが必要だったり、それが剥がれてきたり、そのくせ結局高かったりとどうも納得いかなかった。

 

かといって無垢材、もしくは集成材でとなると、高くなる・・・いつも書斎とかテーブルのカウンターに使っているのは丸岡材木さんの幅はぎ集成材というもので、杉板を横に繋いでいったものでサイズの自由が利く。

材料は床材と同じく吉野杉なのでとても綺麗なのだがそれなりのコストが掛かる。扉を閉めてたら見えない収納の内部に使うのはもったいなくて、やはり納得いかない・・・(笑)

 

・・・そんな話を以前、丸岡材木の岡本くんに話してたらとあるアイデアを出してくれて、最近使っているのはこれ↓

18ミリ厚の杉幅はぎ集成材、棚板用。
何が違うかというと、杉の産地とグレードが違う。床材やカウンターは吉野材だけど、こちらは九州材。たぶん化粧材ではなく下地用なのかと。

 

切断面をみてみる。九州材の特徴は温暖で雨も多いのですくすく育っているということ。なので年輪の幅がとても大きい。1センチ以上あるようなものもあって、一年でそれだけ大きくなるわけだから、材料は取りやすくなるので安い。

 

表面のアップ。もう一つ、この板が安い理由は写真に見える小さなぷつぷつ。

これ、小さな節で『葉節(はぶし)』という。個人的に九州材で多く見かける気がするが、どこの材にもあるはず(だと思う)。はぶしがあると化粧材としては嫌われるので安いのだが、棚板なら全然OKじゃないかと。

つまりすくすく育った上に葉節があるので安いというわけ。決して九州の杉が悪いから安い、というわけではないので誤解なきよう・・・

吉野杉のフローリングと重ねてみる。上がフローリング(吉野材)、下が棚板(九州材)。棚板は150ミリ幅の板を横に繋いであって、300、450と棚板に最適な幅が作れる。

比べると違いがよく分かるが、目の細かさにかなり差がある。このあたりが価格の差になってくるわけだけど、目が細かいほど硬くなるし、表面もきれいなのでやはり床材はこれがいい(笑)

しかし棚板は支持さえしてやれば強度的には問題ない。そしてどちらも国産の杉であることは違いないわけで、まさに適材適所。ようやくストレスのない棚板に巡りあえました・・・結構反るけどね・・・

 

ちなみに杉の持つ光触媒や窒素酸化物の還元反応などは九州の飫肥杉(おびすぎ)が最も強いらしい。関係ないかもしれないが、上のフローリングと棚板では微妙に匂いが違う感じがあって、九州材の方が刺激的な匂いが強く、黒芯のウッドデッキ材と匂いが似ている。

九州材は黒みの強い材をよく見かけるので成分的にそのあたりが何か関係してるんでしょうね。スギ好きとしてちゃんと知っておきたい知識なのでまた調べときます。