CH25 | ラウンジチェア

デザイナー:ハンス・J・ウェグナー(1950)
メーカー:カールハンセン&サン

木の家にしっくりと馴染む一脚。座面を支えるカーブした材はウェグナーらしいデザイン

今回はこのコーナーで何度もご紹介している北欧家具の巨匠、ハンス・ウェグナーが1950年にデザインしたCH25をご紹介します。カールハンセン&サン社が製造販売しています。オーク材のフレームとペーパーコードのみで構成されたシンプルなラウンジチェアです。

デザインの元となったCH27
(アトリエ樫 坂田卓也さん提供)

この椅子にはデザインの元ネタがありまして、ウェグナーの代表作であるCH24、Yチェアがデザインされた1949年、同時に発表されたCH27という籐張りの椅子をリデザインしたものと言われています。比べてみると大きなシルエットはほぼ同じなのが分かります。

ちなみにCH27は現在発売されておらず、CH25をデザインした理由はおそらく構造や加工、強度確保の難しさがあったのではと私は推測します。(CH27の写真は建築家の坂田卓也さんがお持ちのものを撮影頂きました。ご協力ありがとうございます!)

どの方向からみても抜かりないデザイン

座面がそのまま後ろ脚に繋がるウェグナー特有のデザインはここで生まれた

座面を支える材がカーブを描きながら後ろ脚に繋がり、座面に安楽性をもたらす傾斜を生みだす形状は、その後のラウンジソファなどに受け継がれていくウェグナー特有のデザインのベースとなるものです。正直、座り心地は少し硬いのですが、ゆったりと設けられたひじ掛けはとても安定感があります。

2本のペーパーコードで編むことで独自のリズム感が生まれる

また2本使いで編まれているペーパーコードもこの椅子の特徴で、ざっくりとした質感ながら不思議なリズムを感じる仕上がりが素朴さと上品さを両方兼ね備えた雰囲気を生み出していると思います。

座面と前脚の接合部。ペーパーコード編みとの取り合いのディテール

そして前から見ても、横から見ても、後ろから見ても文句なしに絵になる、この椅子ほど全方向抜かりなく、安定したデザインのラウンジチェアって案外少ないような気がする・・・このファサードの美しさは住宅設計にも通じる部分があるなぁ、と個人的には思います。

ペーパーコードの編み終わりラインを端に寄せてあえてデザインとしている背面

リビングやちょっとした寛ぎのコーナーに置くことで、竣工写真をさらに映えさせてくれること間違いなしの一脚です。