デザイナー:モーテン・グッドラー(1997)
メーカー:カールハンセン&サン
今回は1997年にデザインされた、デンマーク家具では割と新しい部類に入るモーテン・グッドラーのキューバチェア。モーテン・グッドラーは1944年生まれのデザイナー。1972年にデザイン事務所を設立、家具や照明などをデザインしています。現在もご存命ですが、キューバチェアの知名度がダントツに高い知る人ぞ知るデザイナーだと言っていいと思います。
↑キューバチェアの最大の特徴は折りたためることでの運搬性の高さ。リビングやウッドデッキなどにも簡単に持ち運べる。
このキューバチェア、オーク材でできた二つのフレームを組合わせたシンプルな形状で、フラットに折りたためるのが最大の特徴。座面はコットンウィービングというベルトを編んだもので構成されています。コットンはナチュラルとブラックの二色から選べます。座面に安楽性の高い傾斜を生み出しつつ後脚にすっと伸びるシルエットは、ウェグナーのGE290にも通じる北欧ラウンジチェアの王道。真横から見るとXに見える構造は、モーエンス・コッホのフォールディングチェアを90度回転させたような形です。
たためる家具研究家の私としては、素材のオーク材、他の北欧椅子でも使われるコットンウィービングに真鍮の金物など、素朴だけど上品さを感じさせる素材選びも巧みだなと。ラウンジチェアとしては非常にリーズナブルなのもポイント高いです。我が家でも使ってますが、ラウンジチェアとしては座り心地は少し固め。くつろぐ椅子というよりは、たためることでの持ち運びやすさ、どこにでも広げられて、使わないときはしまえるという汎用性がキューバチェアの最大の魅力。
↑たたんだ状態。回転軸が振ってあることで2つの三日月が添うような状態になる。
椅子は座り心地だけでは語れない。それは住み心地だけで家は語れないのと同じで、デザインや性能、利便性のどこにポイントをおいて、全体のバランスを取るか、ですよね。そういう意味で非常にストイックな一脚ではありますが、持ち運びやすさ、リビングでも、ウッドデッキでも置ける使い勝手の良さは一脚持っておいて間違いない椅子ではないでしょうか。
↑2021年に発売されたペーパーコード張り仕様。二本ずつ交互に編まれ凹凸を持たせたテクスチャがなかなか良い質感を出している。
ちなみに2020年にはチーク材とフラットロープ編みのアウトドア仕様が登場。お、このロープ編みかわいいなぁ・・・と思ってたら、2021年にはペーパーコード編み仕様も登場しました。このペーパーコード仕様がコットンベルトより素朴で温かみもあり、座り心地も柔らかくなってなかなか良いです。おすすめ。