Onda

デザイナー:村澤一晃(2019)
メーカー:斉藤製作所

Ondaオットマン付き。テレビやNETFLIX鑑賞に最適な一脚

今回ご紹介するのは、村澤一晃さんがデザイン、北海道の斉藤製作所さんが製造、販売されているOndaです。一人掛けのラウンジチェアでオットマンも用意されています。素材はブナの積層材で構成され、座面はコットンベルト編みのほか、ベルベット調生地のクッション入り座面のものも選べます。オプションでクッションも付けることができます。

ブナは家具や積み木に使われる硬くて表情の優しい木材。北海道に多く自生しているほか、青森や秋田にまたがる世界遺産、白神山地のブナ林も有名。ただ木材としては反りが強く、大きく長い材料も取りにくい欠点があります。

背面から見ると背もたれが緩くカーブしているのがよく分かる

このondaの脚部やひじ掛けの曲線は自在に成型できる積層材のメリットを最大限活かしてあり、座面や背もたれが体を受け止めるようにアールを描いている優しいデザイン。座ってみると体に吸い付くような座り心地で、オットマンに足を乗せるとすぐ寝てしまいそう。積層も1ミリぐらいの薄い板を貼り合わせてあって、合板感をうまく消した上品な仕上がりになっています。

コットンベルトに積層材の曲線はアアルトのチェアにも通じる王道の組み合わせ
積層材はかなり薄いものを組み合わせていてとても上品。ノックダウンで組立式になっている

北海道は木材が豊富ではあるものの、本州の杉や桧のような大径材ではなく、ブナやカバ、トドマツといった細い木が多くなります。そういった細い材料を活かすため集成材や合板といった積層材が使われることが多いのですが、これは緯度の近い北欧の文化に近く、どこまでも続く平地に白樺の林が点在する様子はまさにフィンランドでみた風景そのものです。

リビングには大きなソファ、という固定概念

ベルベット生地のバージョン。クッションが入っていてコットンベルトよりさらに柔らかい座り心地

さて、住まいを考えるうえで、リビングといえばテレビの前に2シーター以上の大きなソファを置く、というのが暗黙のルールのようなところがありますが、大きなソファセットは結局お父さんのベッドになってしまったり、動かしたり掃除が大変だったりします。

何より、マンションリノベでは大きなソファを置けるリビングを取ることがそもそも難しい、なんていうことも多い・・・

特に最近依頼を頂くクライアントは1人か2人暮らしというケースが多くて、大きなソファを置くより、一人一脚、座椅子のような感覚でラウンジチェアを置く、という提案をすることが増えています。その方が移動も掃除も簡単ですしね。

人型に3次元構成された座面が宙に浮かんだような独特のデザイン

そんな中、このondaはテレビを見るのに最適な一脚。座り心地ももちろん、頭を支える部分の角度が絶妙なので座っていても非常にラクなんです。脚が板状なので床に傷もつきにくいし、軽くて移動も簡単なので、座る人の最適な位置に移動して使うことができます。

また最近、椅子の価格が高騰していて、特に海外の家具は納期もどんどん長くなっている中、この子はほんとにコスパがいい・・・納期も短いのも大きなポイント。クライアントがラウンジチェアに何を選んだらいいか悩んでいたら、まずは迷わずこちらをお勧めしてみては、と思う一脚です。オットマンはあった方が絶対に寛げますのでお忘れなく!