吉野杉無垢床フローリング(30×215エンドマッチ加工)について

私たちの行う『木のマンションリノベーション』で使う床材は、奈良県吉野産の杉材を使ったフローリングです。

一般的に、特にスギやヒノキなどの国産針葉樹を使った無垢フローリングは、商品の寸法は4mの長さのものがほとんどです。これは丸太製材時の長さが4mであることに起因するもので、一戸建てでは問題ないものの、マンション、特に高層階の部屋では荷揚げがとても大変です。

もちろんエレベーターには乗りませんので、非常階段などを使って数枚ずつ手で上げていくことになります。階段の形状によっては上げること自体が不可能な場合もあり、また可能であっても危険を伴います。

そこで全国の建築会社、工務店さんに杉やヒノキ建材を販売されている製材所さんである丸岡材木店さんと共同開発した、マンションリノベーション用の杉床材を特注して頂いています。

 

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まず床材の長さを1.82m(6尺)として、エレベーターにも載せられるサイズにしました。この長さにすることで天井の低いマンション室内でも立てかけることができ、大工さんが色身や節の選別がしやすいというメリットもあります。

 

ただし、長さを短くするだけでは張る回数が増え、手間が掛かるようになります。そこで幅を21.5センチとして張る枚数を抑えられるようにしました。また同時に床材の継ぎ目が減りますので掃除がしやすく、部屋が広く見える効果を得られるようになります。

よく使われる1.5センチ厚、幅10センチ前後のものと比べると厚みも幅も倍になります。

 

 

短くした分、長手方向の継ぎ目が多くなりますので、長手方向に凸凹の実(さね)を入れて床鳴りや反りなどが起こりにくくしています(この加工をエンドマッチといいます)。

 

 

またこの実に関しても、角を丸く取った形状として、現場で簡単にはめ込めるようにしました。実がはまりにくいとコンコンたくさん叩かないといけなくなり、工事中の騒音が大きくなるからです。

『なぜ30ミリもの厚みが必要なんですか?』と聞かれることが多いです。薄い材になるほど広い幅の材がとれないから、とか、端材を棚板や枠などに転用できて無駄がない、反りにくい、といった理由のほか、薄いものに比べて踏み心地が柔らかくなること、低音域の遮音性能が高いことetc。

コストに関しては1.5センチの床材と比べるともちろん高くなりますが、厚みも幅も2倍だから4倍の価格になるわけではありません。国産、厚い、幅広というだけでとても高いイメージをもたれがちですが、実際には割安に感じてもらえるケースが多いです。

厚いほど表面を削ってメンテナンスもしやすいし長く使える。それに木の家だから床にはこだわって欲しい・・・というのが私たちの本音です。