TPP反対の大義

TPP反対の大義 (農文協ブックレット)

 

先月出版セミナーで東京行った際に農文協さんに『是非読んでください!』と薦められ、なんかよく分かんないけど買っとくか、と言うノリで買った『TPP反対の大義』をようやく読み終わる。

TPPに関しては各々お調べ頂くとして、この本を読んだ私の結論。

 

『TPPには反対です!(笑)

 

忙しいときにこんなこと書いてる場合ではないんだけど、あまりに危機感を感じる内容だったので我慢できないので書きます。

まず、テレビやマスコミのTPPの取り上げ方が悪い。特に前原さんの『(GDP)1.5%を守るために98.5%を犠牲にして良いのか?』発言をはじめ、TPP入らないと日本は韓国に家電輸出で負けちゃうとか世界に置いていかれる風な思い込みを生ませる報道がされてると。

この本読むまで私もそう思ってたし、関税で守られないと存続できない農業ってどうなの?とか、林業は関税の影響が少ないからよかった、とのんきに思っていたくらいで・・・

で、私なりにTPPに反対する理由をこの本から抽出してみる。

 

1)日本の食料自給率が40%から14%に低下する可能性がある

先日もインドとのFTAのニュースやってましたが、米とかのセンシティブ項目に条件を付けられるFTAなどと違い、TPPは例外なき関税撤廃なんだそうだ。関税を無くすということは、安い農作物がどんどん市場に入ることになり、国産の農作物は売れなくなる。試算では食料自給率が14%まで下がるという。

民主党のマニフェストでは自給率を50%まで上げる、と書いてあり、言ってることとやってることが相当矛盾してる。

世界的に見ても、人口やGDPがこれだけある国でずば抜けて食料自給率が低いのが日本なんだそうで、これ以上下がることだけは絶対阻止しないといけない。

 

2)農業保護が国益(つまり輸出)を損なってるという誤解

正直、農業って国に守られすぎというか、補助金いっぱい出てるんでしょ、自分たちでもっと努力できることあるんじゃないの?と穿った見方をしてしまっている人って多いと思う。そういう過保護が、自動車や家電といった、これまで日本の高度成長を支えてきた輸出産業の足かせになっている、と。まさに前原さんの発言そのものです。

つまり、関税撤廃すれば、輸出しやすくなるから景気が良くなる。そのためには農業くらい犠牲になっても、という考え。しかし数字で見ると、GDPに占める『輸出』の割合は17.5%しかないんだって。一方、農業や漁業はじめ、食品や流通、飲食業まで含めた食品産業全体で9.6%あるらしく、農業への打撃の余波はかなり大きくなるそうだ。

もう一つ、農産物への関税についても、日本の関税率の平均は11.7%で、EUは20%だから決して高くない。また農業支援に対する予算も、アメリカで65%、ドイツで62%なのに対し、日本は27%でしかないらしい。つまりそれほど守られてないってこと。

 

3)世界的な食料危機が起こっている

食料自給率の話ともリンクするけれど、今世界的な食料危機で食べ物が足りないらしい。天候異常やバイオ燃料とか色々問題はあるらしいけど、大事なのは自分たちの食べ物は自分たちで確保しないといけない、ということ。

本当に危機になったとき、どんなにお金を出したって他国から食料が買えなくなることだってあるかも知れない。そうなると、食料は戦略物資になって、武器になる。

 

4)輸出を増やさないとやっていけない?

どうもね、TPPの背景にはやっぱりアメリカの存在があるらしい。成長著しいアジア圏に貿易のパイプを作りたい、という。リーマンショック以降、どうにもぱっとしないアメリカも、輸出を増やすのがてっとり早い景気回復策。グリーンニューディールとか言ってもすぐ数字に表れるもんじゃなし、オバマさんも悩みは多いだろうと・・・

日本にとっても『輸出を増やす』ことが景気対策という民主党の考えなんだろうけど、本当にそうなのか?ちなみに日本経済の輸出依存度って16%しかなくて、貿易がGDPに占める比率は世界170カ国中、164番目なんだそう。つまり国内市場が豊富にあるということ。

それになんか、たくさん輸出しないと成り立たない国の形というのは、リーマンショックを機に終わりを迎えてる気がするんだよなぁ。

GDPが中国に抜かれたって先日ニュースでやってましたが、これからの日本は世界○位の先進国という肩書きや、物質的な豊かさよりは、精神的な豊かさを求めていく方向にシフトしていくしか道はないと思う。どうせ、人口が減ってきてる日本の現状で、中国やインドに勝てるわけないんだから。

TPPは平成の開国、なんてニュースで言われてますが、これからは逆に鎖国していくぐらいでいんじゃないかと。鎖国してた江戸時代、国内のものが国内だけで循環してた。今ならそんな形ってかなりエコだよなぁ。スギだってどんどん使われるだろうし(笑)

アメリカや中国とは違った路線で、目指していく方向が日本にはあるんじゃないかなぁ。まぁ、それが何か、といわれたら答えられないけど・・・

 

とにかく、深い検討もなしに、支持率うなぎ下がり?の民主党の軽はずみな考えでTPPに参加するのだけは止めてほしい。

 

と、長々と書いてしまいましたが・・・とにかく一度読んでみてほしいなと思います。薦めてくれた農文協さんに感謝。ちなみにこちらで農文協さんの主張が読めます。

しっかし最近、農業とか林業とかばっかり気になる・・・