京都府宇治市 ツキデ工務店 マンションリノベーションモデルルーム
竣工: 2019/11
RCラーメン構造 1991年築 68.40㎡
設計監理: 小谷和也 写真撮影: 築出恭伸
施工:株式会社ツキデ工務店
大工:沖本雅章
京都府宇治市にある老舗工務店、ツキデ工務店のマンションリノベーションモデルハウスとして、築30年弱の正方形角部屋物件をリノベーション。大工技術を生かした木造住宅を手掛ける老舗工務店のモデルハウスとはなんだろう、を考えるところから設計が始まった。
通常に比べ階高は高いが大梁が二本住戸をまたぐ状況に対し、RC造と木造を対比させるコンクリート梁と木の天井を共存させる方法を取った。これは当時見学した吉村順三設計の鮨屋『河庄』のRC構造に繊細な和風空間が馴染む佇まいを体感したことが大きい。大工の技術がRC躯体を覆い隠すのではなく、共存しつつ共生するさまを形にしたいと考えた。
全体のプランは浴室やトイレといった水周りを一か所に集め、その他をワンルームで構成、可動家具を二列で中央に据えることで可変性のある回遊動線を持つおおらかな間取りとしている。床高を玄関側を水周りとバリアフリーに設定、そこから1段ずつ下がりながら最後はウールカーペットの最下段にたどりつく大階段のように構成した。
居室天井はちょうどデザイン協力したところだった熊野の野地木材の小幅風羽目板を照明ダクトを目地として張っている。居室は杉、ハーフバスの据わる水周りはヒノキを使った。三面の開口部には縁側のような物干し空間を確保しつつ障子と板戸を設けた。この障子は上下が上げ下げで開口できる月見雪見障子として考えた。
床材は国産の栗、水周りボックスを覆う壁には突き鑿仕上げを施した名栗板を張っている。シンプルながら質の高い素材と職人技が各所に光る木のリノベーションモデルルームとなった。