マンションの床騒音についての基礎知識

軽量床衝撃音と重量床衝撃音

軽量床衝撃音(LL)
スプーンなどを落とした際の軽い音

重量床衝撃音(LH)
子供が走り回るような重い音

マンションで一番問題になるのは階下への騒音です。騒音はスプーンなどを落とした時のような軽量床衝撃音(LL)、ドスンという足音などの重量床衝撃音(LH)の二つに分類されます。

軽量音に関しては床仕上げによって遮音性能がかなり左右されますが、重量音は建物そのもののコンクリート床の厚みなどで遮音性能がほぼ決まってしまうため、管理規約では軽量床衝撃音の遮音基準のみが決められています。


タッピングマシン
(測定用軽量床衝撃音発生装置)


バングマシン
(測定用重量床衝撃音発生装置)

画像引用:竹村工業株式会社

ほとんどのマンションでは軽量衝撃音でLL-45以上の遮音性能を求められることが多く、まれにLL-40以上という厳しい基準のマンションもあります。

推定L等級とΔ(デルタ)L等級

床衝撃音の種類 床衝撃音低減性能に関する表示
推定L等級 ΔL等級
軽量床衝撃音 LL-45 ΔLL(Ⅱ)-4
重量床衝撃音 LH-55 ΔLH(Ⅱ)-2

LL-45といった表示方法は『推定L等級』と呼ばれ、床材をマンションに施工した場合、そのマンションの下階の空間性能はLL‐○○等級 と『推定される』という意味です。

ここで気をつけないといけないのは、推定L等級LL-45の床材を使ったからといって、 どんな現場でも実際の空間性能が必ずLL-45等級になるということではない、という点です。物件によってスラブの厚みや梁の間隔などが違うため、実際の性能には違いがでます。

また推定L等級は2008年にJIS規格が改正され、現在はΔ(デルタ)L等級という規格に変わっています。これはほとんどの方に知られておらず、管理規約でも未だに推定L等級が使用されています。

推定L等級とΔL等級の違い

なぜ規格が改正されたのかというと、推定L等級では試験方法などにばらつきがあり、メーカーに有利な試験成績が出ている可能性が高く、実際に施工された床とのデータの乖離が大きかったためです。


新しいΔL規格では、試験方法が統一され、厳格な条件のもとでの試験が義務付けられたため、試験データと実物件施工時のデータの乖離がかなり小さくなっています。

マンション床材の歴史と合板遮音フローリング

新築マンションでフローリングといえば、合板の遮音フローリングが多いですね。踏むとフニャフニャするあの床です。

合板遮音フローリングは建材メーカーが苦心の上生み出した発明品で、ここ数十年、技術的にはほとんど変わっていません。その開発のウラには集合住宅床材の進化の歴史があります。

畳敷きの昔ながらの団地(本多聞の家before)

そもそも、住宅公団(現UR)が戦後の住宅不足解消のためRC造の団地を作り始めた当初、床はタタミ敷き、台所と廊下は板敷きでした。中は真壁造りで木造住宅そのもの、床板も無垢の板でした(無垢しかなかったですから・・・)

新築時からカーペット敷きの物件(神戸長田の家before)

その後、裕福な暮らしの象徴としてカーペットが使われるようになります。築30年前後の家に伺うとカーペット率は非常に高いです。表面が柔らかいカーペットは、軽量音(物を落としたりという軽い音)を消してくれるので、集合住宅が増え、問題になり始めていた騒音問題も同時に解決してくれたわけです。

ところが掃除機の性能やカーペットの防ダニ技術も低かった時代、カーペット敷きの家はダニやダニの死骸やフンといったハウスダストがどうしても多くなり、それが原因でアレルギーによるアトピーや喘息が深刻な社会問題になりました。

ハウスダストを減らすにはフローリングのような板敷にするしかない。しかしフローリングにはカーペットのような遮音性はない・・・そこでカーペットのような遮音性を持ったフローリングの開発が急務となりました。そこで、生まれたのがフニャフニャとした合板遮音フローリング、という訳です。

この合板遮音フローリング、遮音性能は本当に優れていることが計測してみるとよく分かります。 ポイントは表面が柔らかいということ。物を落としても、当たった瞬間に変形してショックを吸収することで、音の発生源自体を小さくしてしまうのです。まさにカーペットの性質そのものなんです。