小谷です。先日、無印良品とURさんがコラボされている団地リノベーションの物件見学に行ってきました。生粋の団地っ子の私としては、見に行かないわけにはいかない・・・
ちなみに現在、泉北茶山台二丁団地、新千里西町団地、リバーサイドしろきたの3箇所で試験的に賃貸住戸を作っており、それぞれモデルルームが数戸ずつ見れる、という仕組みになっているようです。
ということで、私たちが向かったのは新千里西町団地。最寄駅は千里中央駅です。千里中央の駅って来るの初めてだったりしたんですが、駅前なかなか賑わってますね。
総戸数は37000戸。昭和41年築とのことで、築年数は47年くらいでしょうか。まぁなかなかのベテランの部類です。ここでは60㎡ちょっとあるシェアハウスと、44平米の夫婦向けの2か所のモデルルーム見せて頂けました。
こちらは2件目に見せてもらったDINKS向け物件。正直、かなり安易な仕上がり。なるべく現状をいじらずに、団地をおしゃれに、というのが今回の方向性。あくまで賃貸なので、手を入れすぎると賃料に響くわけですので・・・賃料としては、現状そのままの部屋と比べて数千円程度のUPで納まっているよう。ふむふむ。
畳だった部屋は麻を使った麻畳という、畳とカーペットの間といった素材を無印良品さんで開発されたそうです。鴨居や柱といった素材はなるべくそのまま残し、白の水性塗料で塗りつぶす、という感じ。板間は白いビニル床に変更。まさに白い空間。
ふすまは全て取っ払い、新たに建具を設けたり、カーテンで仕切るようにしたり。そこに無印の家具を入れる、というスタイルですね。家具として設けたキッチンとかは面白いな、と思いました。
団地という素材を、低コストで直す、という制限の中で考えると、賃貸団地リノベーションのひとつの解、ではあると思います。シンプルな素地だからこそ、住み方でどんな色にでもなるキャンバス。いろんな意味で勉強になった・・・今のところ、結構申し込みはあるようですよ。気になる方はぜひ見学に行ってみてください。
URの担当者の方と色々お話するなかで、個人的に気になってるDIY賃貸の現状を色々お伺いしました。例えば今回のようなリノベーションであれば、DIYで十分できちゃう内容なわけだし、改装コストが掛からない分、UR的にはメリットも大きいだろう、とは思うんです。
ただ、ルールというか、線引きは難しいだろうなと。どこまで改装を許すか・・・なのでそんなに普及しない可能性もあるな、とも思ってたんですが、現在、かなり反響はあるらしく、対応住戸を増やす方向性ではあるようです。これはいい傾向だと思います。
URとしては、負債もあるし、家も余ってくる今後を見ても、団地の建て替えは限りなくゼロにしていくはずです。膨大な数の団地ストックをどう生かすか、そこにはいろんな可能性が眠ってると思いますが、ほとんどが賃貸住戸です。
今までの『現状復帰』前提の賃貸住宅から、住まい手に多くをゆだねる形にどんどん変わってくれば、もっと家って楽しくなる気がするんですよね。
見学の際に頂いたノベルティ。ヒノキのストラップ。解体された団地の鴨居などの内装材を使って作ってあるそうで、50年経ってもまだヒノキの匂いがしっかり。50年たっても削ったら新築のときと同じ色、同じ香りがする。すごいよね、木って。
URの団地って、鴨居や化粧柱も無垢材なのはもちろん、外部の窓サッシも元々は木製で、それもヒノキでできてました。板間もナラだったかカバだったか忘れたけど、無垢材なんですよね。
私たちのやってる木のマンションリノベーション。ほとんどの方が『マンションで木を使えるって初めて知りました』って言われるんですけど、もっと歴史の古い団地はそれこそ無垢材だらけだったわけで、木のリノベーションって、集合住宅を元々の姿に戻す、という側面もあると思っています。
戸建てに住んだことのない生粋の団地っ子で、木のリノベーションを生業にしている私としては、団地のセルフDIYが今後加速していくなら、杉とかヒノキをもっと使ってもらいたいな、と
。それを広めるのは私の使命なのかもしれないと・・・(笑)
そのために何をすればいいのか?、色々考えさせられる、とても有意義な見学でした。次はDIY住戸を見に行ってみたい!