ずっと前から行きたかった、建築家 益子義弘さん設計の裏磐梯のホテル、ホテリ・アアルトにこの度ようやく行くことができました。正直、年末でかなり気ぜわしかったんですが、建築家 伊礼智さん主催の住宅デザイン学校でのイベントに呼んでもらえるとのことで、この機会逃したらもう無理な気がして(今年はこのセリフ連発・・・)えいや、の気持ちで行ってきました。
もともとスキー客向けのホテルだった建物を全体的にリノベーション、増築して完成したホテルで、宿泊中は飲み放題だったりします。ちょうど雪が積もってよい感じでした。ちなみに福島県には初めてきました。
会津磐梯山といえば、野口英世ですね。子供のころ、伝記読んだなぁ・・・
ロビーは名作椅子と地元の木材使った天井仕上げが目を引きます。写真で何度もみていた空間にようやく来れた、という感動に浸ります。ちなみに家具はフィンランドのアアルトスツールのほか、デンマークのハンス・ウェグナーのイージーチェアGE290も贅沢に並んでます。あとスェーデンのIKEAの照明や椅子がさりげなく置いてあったりして、北欧各国の家具がとてもセンスよく使われています。
ちなみにホテル名のアアルトはあのアルヴァ・アアルトのことではなく、フィンランド語で波を意味する言葉として使われています。このロビーの天井は、まさに波打っている感じで、外観も大きな波といえば波かと・・・
ただ、例えばこの天井は小幅の板が並んだ仕上げになってまして、これはまさにアルヴァ・アアルトが設計したヴィラ・マイレアやメゾン・カレなどの住宅の天井で好んで使った、まさにアアルト天井。
益子先生は北欧建築デザイン協会の理事でもあってアアルトへの造詣も深いわけで、波としてのアアルト、そしてアルヴァ・アアルトへの敬意も込めた、2つのアアルトに掛かっているわけ。おしゃれです。
こちらが食堂。暖炉が中央に据えられた空間は、天井が抑えられたテーブル空間との高低差が心地よさを醸し出しています。奥まった天井の低い窓に面したコーナーは、先日フィンランドで見てきたアアルト自邸のスタジオ空間のアアルト本人が使っていたスペースへのオマージュを感じます。
この日は住宅デザイン学校御一行さまの貸し切りということで、特別に全ての部屋を見学させて頂きました。木造ホテルのリノベーションなので、変なところに柱が出てきたりするわけですが、それをうまくオブジェとしてインテリアに溶け込ませるあたり、やはり益子先生のうまさを感じます。
で、各部屋の窓まわりは、はめ殺しのガラスと縦長の小窓の組み合わせが基本になっていて、そこに格子の開き網戸がつく、という構成。これも北欧の一般的な設えで、特に夏がそこまで暑くならないので、通風は小窓、なので日本の窓のように引戸で全開放するという発想はほとんどないんですよね。ちなみに小さな開口に開きの格子戸の組み合わせはルイス・カーンもよくやっているし、日本だと堀部安嗣さんや中村好文さんもよくやる手です。
ちなみにこの格子は一枚の板を両面から溝を取ることで成立しています。いいですよね。ただ真似はこんな加工できるとこがないだろうからおそらく難しい・・・
こちらは客室のミニバー部のタイル。これに憧れて、雑誌に載っていた品番を好んで使ってたんですが、実は違うものだと言うことが実物みて判明しました・・・という投稿をfacebookで挙げていたら色んな方が実際の品番を教えてくれて、でもそのタイルはあまり水回りに向いてないことも同時に分かっちゃって、結果としてはよかったかなと。でも目地が大きくて、それこそアルヴァ・アアルトのデザインしたシエナというテキスタイルに似ていて、こっちはやっぱかわいい。
ということで最後に参加者の皆さんと集合写真。いやぁ、素敵な空間で快適なおもてなし。とてもいい体験をさせて頂きました。やはり写真でいくら見るよりも一回の体験に勝るものはないです。
今回参加させて頂きました住宅デザイン学校のみなさま、ありがとうございました!みなさんもぜひ一度行ってみてくださいませ。
ホテリ・アアルト