東京世田谷Y邸。エコクイーンNSR-1コテ塗り押さえ仕上げ。
塗り壁の代表的な材料としては、珪藻土と漆喰があります。それぞれ特徴があるので使い分けるようにしていますが、お勧めする標準材料は決めています。漆喰と珪藻土の特徴など含め、それぞれご紹介します。
漆喰(しっくい)塗り壁について
漆喰は石灰を原料とし、海草のりなどを混ぜて塗りやすくしたものです。石灰はグラウンドの白線などで有名ですが、サンゴなどの化石で、鉱物資源に乏しい日本では珍しく、国内だけで賄えるほど豊富に産出する素材です。
↑(左)高松塚古墳内部と漆喰に書かれた絵。(右)漆喰塗り壁の美しさから白鷺城の異名ももつ姫路城
しっくいそのものに固まる性質があります。石灰に水を加えた消石灰が空気中の二酸化炭素と反応、炭酸カルシウムに変化、というメカニズムで気硬性と呼ばれます。塗ってから数年掛けてどんどん硬くなっていきます。歴史は古く、高松塚古墳の壁画の下地であったり、城郭建築の外壁に使われたりと日本人のなじみの深い素材です。
漆喰塗り壁の特徴
- 吸放湿効果がある(珪藻土よりは若干劣る)
- 仕上げは少しツヤがありサラっとした風合いになる
- PHは強アルカリ性のためカビに強い
- 自分で固まる性質をもつ
珪藻土(けいそうど)塗り壁について
珪藻土は海底の植物性プランクトン、珪藻の化石が原料になっています。日本人にも馴染みの深い素材で、耐火性を活かして七輪(しちりん)の素材にも使われていることでも有名です。
↑珪藻土の顕微鏡写真。木炭の穴の何十分の一の小さな穴が無数に空いている(日本ケイソウド建材HPより引用)
珪藻土には非常に細かい穴が無数に開いており、この穴が湿度の調整その他の効果をもたらすようです。通常、珪藻土はそのものに固まる性質がないため、塗りやすさと固めるための働きを持つ固化材を混ぜる必要があります。商品によっては割れ防止に樹脂などが使われているものもあり、珪藻土の穴がふさがれてしまい吸放湿効果が損なわれているものもあるようです。
珪藻土塗り壁の特徴
- 吸放湿能力がもっとも優れている
- 仕上げはマットでざらっとした落ち着いた風合いになる
- PHは中性のため、商品によってはカビなどが生えることがある(らしい)
- 固めるために固化材が必要
私たちがお勧めするのは日本ケイソウドさんのエコクイーンという珪藻土です。その理由は、国産の珪藻土を原料にしていることがひとつ。もう一つは固化材に消石灰(漆喰)を使っている点です。
これによって強アルカリ性の性質をもつ珪藻土となり、特にカビの可能性があるマンション内装材として向いていると考えています。また光触媒の作用があり、付着した汚れが少しずつ薄くなっていく、といった機能も持っています。
塗り壁の選択について
珪藻土と漆喰、どちらもコストは変わりませんので、機能や質感で決めることになります。基本的にはこちらでアドバイスをさせて頂きます。
塗り壁の質感はクロスにはない味わい深いものがあります。また吉野杉の床材との相性もとてもよいです。特別のご要望がない限り、基本的に壁は塗り壁としてご提案することになります。