マンションリフォームと全面鏡

神戸灘区H邸。玄関から廊下をみる。

一戸建てに比べ、そもそもの広さが限られているマンションのリフォームでは、いかに広さを感じられるように工夫するかは重要なポイントだと思います。そこで全面鏡や姿見を設けることをよくやります。

視覚のトリック、と馬鹿にできません。冗談のように思われるかも知れませんが、これだけで広さの感覚や開放感は本当に大きく変わります。

ここではマンションリフォームでの鏡の効果を事例を交えてみてみます。

 

玄関の姿見ミラー

最も多いのが玄関に設ける姿見ミラーです。というのも、どうしても玄関が狭いケースが非常に多いからで、少しでも広く、視覚的に奥行きを持たせたいからです。出かける前に身だしなみをチェックする姿見として役立つだけでなく、玄関だけで帰られるお客さんにも少し広く感じてもらえるメリットもあります(笑)

 

宝塚K邸。左は玄関から、右は廊下をまっすぐみたところ。

玄関からL字に曲がって廊下、という形状の場合、壁のままだとコーナーの圧迫感は大きく感じます。このケースではコーナーに姿見ミラーを張ることで、玄関から見た際には床材や天井面、鴨居などが繋がって見えるため、右手に部屋が広がっているような錯覚を起こします。

ポイントは鏡を床から天井まで繋げることと、上がり框のラインを合わせる事です。

 

京都K邸。左が玄関から廊下、右が廊下から玄関をみたところ。

南リビング、北玄関の典型的マンションでは玄関が居室に挟まれるため、細長い形状になりがちです。このケースでは玄関土間タイルに合わせてミラーを設けることで玄関と廊下の幅を倍に感じ、細い廊下に少し広がりが出ます。こちらも鏡の幅と土間の幅を合わせることがポイントです。

 

 

大阪堺Y邸。左が玄関から廊下、右が廊下から玄関を見たところ。

廊下上がってすぐの壁一枚を全面ミラーに。右手にそれなりのスペースがあり、それが鏡に映りこむため、玄関から見るととても広い部屋のようにみえます。

 

洗面・トイレでの全面鏡

洗面台に関してはほとんど全面ミラーを設けています。これは狭さの解消よりは個人的に好きだからなのですが(笑)、特に天井に木を張るとより広さと繋がりを感じます。また二人以上で洗面を使う場合でも不自由なく使えるメリットもあります。

 

↑(左)宝塚I邸。(右)茨木I邸。山桜材の洗面カウンターと全面ミラー。

洗面カウンター前を全面ミラーにする場合と、小さなミラーにする場合では部屋の広さと奥行きの感覚が大きく変わります。天井材が繋がることで単純に二倍の奥行きを感じます。また天井材の張り方向によって雰囲気もかなり変わります。

↑(左)尼崎T邸(右)茨木I邸。トイレ上部を全面鏡にした例。

配管や他の部屋との兼ね合いもあり、マンションリフォームで最も場所を動かしにくく、面積も広げにくいのがトイレといっても過言ではないでしょう。また一戸建てに比べ面積がかなり狭いケースも多いです。

全面ミラーを設けることは開放感ももちろんですが、来客がトイレを使われる際の身だしなみチェックにも喜ばれます。ただしあまり低い位置に設けると全身が映るので少し高めにします。

姿見や全面ミラーは指紋や汚れなどをこまめに拭いてあげる必要がありますが、面積が限られた場所ほど効果があります。コストも思ったより掛かりませんのでプランニングの際、効果的な場所にはなるべく設置してご提案しています。